「”80%の部分”をいかに上へと引き上げていくか」福岡ソフトバンクホークスが示した意外なデータとアプローチとは?~第4期横浜スポーツビジネススクール 第5回編~
福岡のみならず九州の象徴であるホークス
ホークスは大阪から福岡に移転して今年で35年。プロ野球における地域密着の先駆けとして長きにわたって根付いてきた。
「ファイト!九州」と題し、今シーズンは県内の北九州に加えて鹿児島・宮崎・熊本・長崎でも主催試合を行った。
キャンプは毎年宮崎で実施し、ファーム施設も福岡県筑後市に拠点がある。「タマホーム スタジアム筑後」で開催されるウエスタン・リーグ公式戦には年間10万人ほどが来場するなど、ホークスは福岡のみならず九州の象徴となっている。
地域と密着するにおいて欠かせないのが地元メディアの力だという。白川さんは県内におけるメディアとの関係性についてこう説明した。
「おそらく我々がすごく恵まれている点だと思うのですが、九州エリアで唯一のプロ野球チームということもあり、福岡県の民放5局全てが地上波で試合の中継をしていただいています。ホームとビジター合わせて100試合ほどですね。中継以外でも情報番組やホークスを応援する番組を放送してくださっているので、とてもありがたいと感じています」
地元メディアとの関係が強くそして結束しているのが表れた例として、上述の鷹の祭典に絡めたエピソードを1つ明かした。
「昨年1勝8敗だった鷹の祭典。私も行ったのですが、今回は必勝祈願として民放5局のリポーターがユニフォームを着て参拝しました。その模様を5局全て流していただいたということがあり、ホークスならではの取り組みだったのかなと感じております」
約50分の講義は終了し、質疑応答へ。ここでも各回同様多く寄せられ予定時間を超えるほどであった。
「お客さまの反応を見てその場で感じることができる」語るやりがい
講義終了後、白川さんにお話を伺った。98年に入社した白川さんは99年の移転後初優勝から20年までの日本シリーズ4連覇など、ホークスが強く人気になっていく過程を肌で感じてきた。初優勝した時のことはずっと心に残っている。
「優勝して初めて盛り上がりを実感しましたね。休みの日にスーパーに行くと店内で球団歌が流れている。今では珍しくない光景ですが、当時は斬新でした。街に浸透して嬉しいと思った瞬間でしたよ」
九州の方たちが喜んでくれること。それが何よりのやりがいと語る。
「一番は球場に居ますので、お客さまの反応を見てその場で感じることができますよね。『この企画、すごい喜んでいただいているな』というのを目の前で実感できる。それを見れるのがやりがいです」
講義の後は、ベイスターズの林裕幸・取締役 ビジネス統括本部長とのトークセッションへ。両球団の事例を共有し合った。
(つづく)