北海道日本ハムファイターズ 谷口雄也さん 一軍定着の礎になった先輩たちの”準備”と16年日本一の中で果たした役割(全5回 #2)
スタメンと代打の両方で大切にしていた”切り替え”
谷口さん個人としてはこの年、様々な役割をこなしていた。シーズン通じては一言でこう振り返っている。
「前半戦はスタメンで出る試合が多く、後半戦は代打という一発勝負の世界に身を置いていましたが、ここ初めて”仕事の意義”っていうものを感じましたね」
14年は一軍で実質一年目と言うこともあり、目の前のことに必死な部分が大きかった。その中でも稲葉さんら大先輩を手本にしながら自分の居場所をつくっていった。
この年は一軍に定着して3年目。経験も技術も上がり、何よりチームの戦力として自分がどうあるべきかを考え、理解をして臨んでいた。
「もちろん常に先発で出るための準備はするのですが、オーダーを決めるのは監督・コーチです。控えだから要らない、ではなく、”こういうゲーム展開になったときに谷口を出したい”と思ってくれているからスタメンじゃなくてもベンチに置いていただける。そういう立ち位置に入ったと思います。
なので当時栗山監督が思ってた一軍メンバーを当てはめていったときに、前半戦は先発・後半戦は代打というような役割で、僕を残してくれていたのは本当にありがたかったです」
特に谷口さんの役割で最も大切だった一つが”切り替え”。スタメンかベンチスタートか、代打であっても試合局面によって出番が発生するのかしないのか。相手チームの投手や自チームで打者が塁に出るか出ないかなどその時々で変わってくる。
目まぐるしい状況で出番がない可能性もあるなか、常にスイッチのオンオフを押し変えていた。
谷口さん流の”悔いのない準備”とは?
谷口さんは、16年後半そして一軍定着を果たす14年も代打での出場が多くあった。稲葉さんや矢野さんら先輩選手の取り組みを参考に、試合の1球・1打席に懸ける姿勢やベストコンディションへの持っていき方を取り入れていった。
「先の稲葉さんの例にもありましたが、僕も汗をたくさんかきたいなというのがあったので、頭に血を昇らせることを考えて、ダグアウト裏では逆立ちしてみたりとかもしました。
あえて心拍数を上げるような動きをするのを自分の中で取り入れましたね。汗もかかずに打席に行くのは何か悔いが残ると感じていました。
もう体が疲れ切ってるぐらいの極限の状態で代打として送られる方が良かったので、暑い日も寒い日も一定して『ここまで体を動かしたらいけるんだな』というのを試行錯誤しながらも、悔いのない準備をして試合に臨むというのを心がけてました」
日本一にも貢献し、プロ野球選手としての頂点を若くして経験した谷口さん。レギュラーを掴むべく更なるステップアップを図ろうとした矢先、一気に最大の試練へとぶち当たってしまう。
(つづく)
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