「おかえり！ノムさん 大阪球場に。」遺志を継いだ愛弟子の長年の想い、そして不世出の名捕手が44年越しに帰還するまで 

大阪の複合商業施設「なんばパークス」にある南海ホークスメモリアルギャラリー。88年までこの地で時代を築いた球団の歴史は、名だたるOBが寄贈した展示品やパネルなどを通じて紹介されている。

しかしオープンから20年近く、ある名選手について触れられていない状態が続いていた。本編ではあの名捕手かつ大打者の帰還を振り返った。

（取材協力 / 写真提供：南海電鉄　文：白石怜平）

プロ野球選手・野村克也のルーツは南海ホークスに

20年11月4日、大阪・難波で「おかえり！ノムさん　大阪球場に。」と銘打ち、メモリアルギャラリーのリニューアル計画が発表された。

不世出の名捕手である野村克也さんが南海ホークスで残した数々の功績を讃えるために立ち上がったプロジェクト。球団OBで野村さんと長年親交のあった江本孟紀さんが発起人となり、和田真治・南海電鉄執行役員、吉川達郎・サンケイスポーツ代表（当時）とともにスピーカーとしてメディアの前に立った。

野村さんは”名監督”のイメージが強いファンも多いかもしれない。ヤクルトで黄金時代を築き、阪神そして楽天の監督も歴任し通算1565勝を挙げるなど、言わずと知れた名将である。

ただ、決して見逃してはならない点は現役時代であり、そのキャリアのほとんどが南海で築かれたものだった。テスト生で54年に入団し、3年目に正捕手の座を掴むと、不動の4番打者としても活躍。

65年には2リーグ分立後初となる三冠王に輝くなど、本塁打王9度・打点王7度・ベストナイン19度、MVPは5度も受賞するなど華々しい成績を収めた。69年オフには選手兼任監督に就任。8年務めるなど、実働26年のうち23年を過ごした。

現役時代に野村さんとバッテリー組み、在籍4年間すべてで2桁勝利を上げるなどプロ通算113勝のうち52勝を南海で挙げた江本さんはこの記者会見でも、

「世間体としては、”名将”・”名監督”という印象が強い方ではあるが、私個人としては”野球選手”としてスーパースターだった。その野村さんが一番輝いた現役時代を送ったのが伝統ある南海ホークスだったと思っています」

と語るように、その功績は疑いなく南海ホークスの球団史において燦然と輝くものである。

野村さんが明かしていた”本音”