西武・石井丈裕 「タケと心中」した日本シリーズと舞い上げた”でっかい花火” 92年激闘の記録
西武ライオンズ黄金期に主力投手として活躍し、現在はライオンズアカデミーのコーチを務める石井丈裕氏。
92年にはシーズンと日本シリーズの両方でMVPを獲得した名投手である。
88年ドラフト2位で西武に入団後、常勝軍団で自らの居場所を掴み強力投手陣の中に割って入った。そして、野球人生で最も輝くシーズンを迎えることになった。
今回は、プロ野球の栄誉を数々手にした1992年を振り返る。
第3回:「1軍に残れるかビクビクしていた」西武入団編はこちら
(取材協力:西武ライオンズ、文:白石怜平、以降敬称略)
15勝、防御率1.94の成績で沢村賞とMVPに
前年の91年は故障に苦しみながらも7勝を挙げ、日本シリーズ初登板も果たした石井。更なるステップへと進むべく92年のプロ4年目のシーズンへと臨んだ。
「開幕当初はリリーフでした。ただ、ある時扁桃腺が腫れて熱が出てしまい離脱してしまったんです。少し休んで、また頑張れて結果を出せたので1軍には定着していました。
GWの頃までは連戦が少ないので、6連戦になるまではリリーフで投げていましたが、途中から先発に移った形でしたね」
このシーズン初先発は4月25日。ここから石井の大躍進が始まった。先発の柱として勝ち星を重ね続け、優勝が決まる時期の9月には4勝で初の月間MVPを受賞。15勝3敗3S、防御率1.94の成績でリーグ3連覇の原動力となった。
最高勝率のタイトルを獲得し、シーズンMVPそして沢村賞という投手として最高の栄誉を得ることができた。
しかし、石井のサクセスストーリーはここで終わらない。次の日本シリーズでもドラマが待っていた。
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