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西武・育成環境整備が導く新たな黄金時代「常に優勝争いができるチームに」

選手のモチベーションがさらに向上

この2年で練習環境が大きく変わり、選手たちはどんな反応があったのか。実際に使い始めて以降の様子について田代広報はこう続けた。

「モチベーションがすごく上がったと感じます。新しい施設で初めて練習したのが山田遥楓(はるか)と戸川(大輔)だったのですが、ウエイトで『もう1セットやろうぜ!』ってお互い声を掛け合うなどこれまで以上に精力的にやっていました。1年以上経ちましたけども選手のモチベーションは高く保たれていると感じています」

そして若い力もどんどん台頭している。昨シーズンの若獅子たちの様子を話した。

「特に自主練習期間中は、基本的には自分たちで必要なメニューを考えて開幕から逆算して調整していました。特に平良(海馬)も施設を積極的に活用して結果が伴いましたし、鈴木将平もそうです。

2020シーズンは1軍で1番を打ったりしましたが、『外野を抜けるような強い打球を打ちたい』と口癖のように話していました。それでウエイト中心にトレーニングを一生懸命やってプロ初本塁打(7月11日のロッテ戦)も出ましたし、トレーニングセンターで行ってきたことが礎となっているのではないかと思います」

鈴木将平選手。昨季は1番・センターで先発出場もした

ファンにとっても特別な空間に

CAR3219フィールドの改修完了で、40周年事業における強化/育成面は一旦完了した。再び常勝軍団となるべく、球団として今後の想いについて語った。

「毎年1軍で戦力になるような若い選手がファームから育ち、新しい戦力が1軍で勝負できるよう確立させていくことが今後への期待です。常に優勝争いができるチームであり続けることが大事だと思っています」

そして、チームの強化以外に注目してほしい点があるという。1軍と2軍が集約しているライオンズだからこそできる野球の観方がそこにはある。

「できたら、1日で1軍と2軍の試合両方観てみてほしいです。昼に2軍、夜に1軍がホームで行われる日があります。昼間から来ていただければ両方観戦できるんです。

昼に選手が汗だくになって1試合頑張った後、その選手が当日1軍に上がることもあります。日に焼けて真っ黒になった選手が、慣れない雰囲気の中挨拶する様子も見られます。選手と喜びや緊張感を一緒に味わえるというのは特別な空間です」

オンライン取材に協力いただいた田代球団広報

昨シーズン、主力選手の故障などで10月までは苦戦を強いられた。しかし、終盤は怒涛の追い上げを見せ、最後までCS出場争いを演じるなど底力を見せた。

2年ぶりのリーグ制覇・13年ぶりの日本一奪還に向け、選手たちは動き出している。

球団ビジョン「共に強く。共に熱く。」

約3年に亘る球団史上最も大きなプロジェクトは今年3月で完結し、今シーズンから新たなスタートを切る。

2017年11月、40周年事業に加えて球団の事業ビジョンも発表している。

”共に強く。共に熱く。”

「チームとスタッフが一体となり野球エンターテインメントを通じてファンと共に熱狂を共創し、新たな感動の創造に挑戦する」(球団発表資料より)

今回の施策もこのビジョンをもとに行われ、チーム強化やボールパーク化などの球団運営に反映されている。

球団ビジョン「共に強く。共に熱く。」(球団40周年特別HPより)

CAR3219フィールドからも目指すべきメットライフドームが見え、『ここで活躍するんだ!』と若い選手たちが気概を持ってスタッフに想いを共有しているのだという。

前編で登場いただいた服部友一広報も

「現場と球団スタッフ・会社が一緒になって同じ方向を向いて頑張ってきていると感じます」

と自信を持って述べた。

メットライフドームのスタンドから代名詞のフラッグが振られる光景が戻るその時には、鍛え上げられた若獅子が躍動し、新たな黄金時代の到来を予感させる。

(取材 / 白石怜平)

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