「ダイバーシティ・パーク2024 in 新宿」に名球会・宮本慎也さんが登場!個性や目標をつくりあげるために説いた”自分で考える”こと
10月5日〜6日、新宿中央公園で「ダイバーシティ・パーク2024 in 新宿」が開催された。
障がい者スポーツを中心としたアクティビティを通じて〝個性〟と〝個性〟が交流するイベントに今年も名球会が協力した。
10月6日に宮本慎也さん(元ヤクルト)が参加。トークショーと野球体験会が行われ、子どもたちが野球の楽しさを知る時間となった。
(協力:日本プロ野球名球会、ダイバーシティパーク in 新宿2024実行委員会、写真 / 文:白石怜平)
毎年新宿で開催されている”個性”を尊重するイベント
本イベントは、毎年新宿中央公園で行われている障がい者スポーツイベント。
さまざまな立場や考え方をもつ人々がお互いの”個性”を理解し、そして共存していくためのきっかけづくりになることを願い、2016年より開催されている。(20年・21年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止)
車いすスポーツやボッチャといったパラスポーツ体験や、ステージプログラムなどが公園全体を活用して展開されている。
名球会は第1回から参加しており、今回は宮本さんがその役を担った。
「個性は基本ができて初めてつくられる」
トークショーでは、本イベントのコンセプトでもある”個性”についての話題に。宮本さんが考える個性について、自身の考えを明かしてくれた。
「まず、個性というのは基本ができて、そこから初めて個性になるのだと考えています。組織やチームの一員として基本的なことを理解した上で、個性を出していくのがいいのではないと思います」
プロ野球は弱肉強食の世界。個性が強く、かつそれを発揮できないと生き残ることはできない。
そんな厳しい世界で19年もの間選手としてプレーした宮本さんに、個性をどうつくっていくかを訊いた。それは、プロの世界で生き残ることを踏まえて語られたものだった。
「個性というのは自分で考えてつくるものだと思います。誰かが『君の個性はこうだよ』と教えるものではないですから。
基本ができるまでは上の方が指導する必要がありますが、それ以降は自分で作り上げないといけないので、そこは “個人”だと思います。
そこで見つけられなければ残念ながら、そこまでの選手だということです。そこはプ口ですし、12球団で毎年70人以上入れ替わる世界なので」
大きな目標を達成するには?
続いての話題は目標を持つことについて。今は解説の他にも中学生を中心に野球の指導をしている宮本さん。
これから大きく育つために、中学生に向けては目標を立てることを話しているという。まずは宮本さん自身が、実際に伝えている目標の立て方について語った。
「大きな目標を立てて、そこまでにどう段階を踏むかだと思います。
例えば、『大谷翔平のような選手になりたい』と言ってもいきなりはなれないので、中学生に向けては『高校3年生までにここまでのレベルに行く。だとしたらどんな練習が必要なのか』を組み立てないといけないのかなと。
彼は “世界で一番の選手”になるために、高校生の時からずっとやってます。目標が大きくても、それに対して『自分はなるんだ!』と曲げないからあそこまで行ったので。
あとは立てたものが小さかったら達成感が薄いと思うので、大きい方がいいですよね。なのでそれにはどうしたらいいか、段階を踏んでいこうと伝えています」
その段階的な目標をどう実践していくのがよいか、宮本さんから金言が送られた。ここでは個性の際に語っていたことと共通の考えを見ることができた。
「個性と同様に”自分で考えないと”身につかないです。実践に向けては達成できそうな目標を立てていくことが重要で、少し努力して達成したら次にもう少し努力して達成する目標を立てた方が、飽きずにできます。
とにかく自分で考えるのが一番大事だと思います。成果はどちらでもいいんです。中学生だったらいくら失敗しても、人生に残る大失敗にはならないと思うんです。なのでたくさん失敗した方がいいです。
でも、行き当たりばったりに失敗するより、自分で考えて行動して失敗した方が身になると思います。とにかぐ”考えて行動する”。考えて迷ったら、やらないよりやった方がいい。若いうちはいくら失敗してもいいので」
アマチュア時代にはPL学園から同志社大そしてプリンスホテルと、各カテゴリーで強豪と呼ばれるチームでプレーを続けてきた。宮本さんはその中で目標を立てて、邁進し続けていた。
「高校の時にずっとプロ野球選手になりたいと思っていて、その時は無理だったとしても諦めるということはなかったんです。その中で試行錯誤をしていきましたが、遠回りも近道だと思っていました。
やらないと分からないことがたくさんあるので、取捨選択していいものを取り入れて、そうじゃないものは省くという作業を繰り返していました。無駄と思えることも無駄じゃないことが多かったと思います」
MCを務めた明石千明さんから、例えば指導者からの言葉でモチベーションが上がったことがあったかを問われると、以下のように答えた。
「自分で言うのも何ですが、”言われたらやる”素直さがあるので、これ言われたからモチベーションが上がる・下がるってのは一切なかったんですよ。
自分のなりたいと方向に向かってひたすら進んだので、その過程で言われてやってみて合っていた・違っていたを繰り返していました」
上述の通り中学生を指導している現在、目標の他にどんなことを教えているのか。育ってほしい姿を描きながら伝えていることを共有してくれた。
「いつも言っているのは”できることを一生懸命やりなさい”と。プロとは違うので、ほぼできないことが多いですがそれは仕方ないことです。
試合で言うと全力疾走するとか、カバーリングに行くとか、サインミスをしないなどは野球の上手下手関係ないので、できないと叱ります。
でも、三振したとかエラーしたとかは何も言わないです。なので、自分ができることに一生懸命になる人に育ってほしいですね」
この日はスワローズ時代の宮本さんのグッズを掲げるファンの方も参加するなど、野球ファンにとっても楽しめる会になった。
質疑応答では、高校野球でプレーする子どもの母親からも質問が挙がるなど、観覧者は最後まで席を立つことはなかった。
恒例の子どもたちとの野球体験コーナーへ
トークショーが終わると場所を移動しスポーツゾーンへ。幼児から小学生までの子どもたちと保護者が一緒にグラウンドに入り、投げる・捕る・走るといったボールを使って野球体験が行われた。
一人一人が宮本さんとキャッチボールを行い、子どもたちだけではなく現役時代の勇姿を知る保護者の方も参加し、感激する様子も見られた。
構えたところにボールが来ると宮本さんも大きな声で「ナイスボール!」と笑顔でリアクションした。
カラーバットも用意され、実際にボールを打つと初めてやるとは思えない打球が何度も見られ、後ろで守っている子どもたちも全力で走りボールを追いかけた。
グラウンドにいるみんなが笑顔になった野球体験コーナーも瞬く間に終了し、みんなに惜しまれながら活気ある雰囲気で無事に終えることができた。
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