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イチロー氏 「許せ 大輔」松坂氏の引退セレモニーにサプライズ登場し、本人も涙〜松坂大輔氏 引退セレモニープレイバック最終回〜

2021年12月4日、メットライフドームにて開催された「LIONS THANKS FESTA」。2021年シーズン限りで現役を引退した松坂大輔氏の引退セレモニーが行われた。

自身の言葉で感謝の想いを述べ場内1周を終えようとしたタイミングで、再度松坂氏へメッセージがあるという場内アナウンスが。

ホームベース付近でLビジョンに体を向けるとそこに映し出されたのは、なんとイチロー氏(マリナーズ会長付き特別補佐兼インストラクター)。

マリナーズのユニフォーム姿で映し出されたイチロー氏

驚きのあまり両腕を頭に抱える松坂氏と、歓声とは違う声がスタンドの空気を一変させる。ほっともっとフィールド神戸をバックにマリナーズのユニフォーム姿のイチロー氏はクールに語り始めると一瞬にして静寂に。

「大輔、どんな言葉をかけていいのか、なかなか言葉が見つからないよ。だから僕にはこんなやり方しかできません。許せ 大輔」

数秒の静寂が続くと、スタンドからは大きな悲鳴のような声が。1塁ダグアウト横からイチロー氏本人が花束を持って松坂氏のもとへと向かってきたのだ。その場でうずくまり動揺を隠せない状況の中、花束直接渡された。

イチロー氏から花束を受け取る松坂氏。この後涙が溢れた

握手を交わし深々と頭を下げる中、数回言葉を交わすと松坂氏も堪えていた涙が溢れ出た。会話を終えても何度も握手を交わすとイチロー氏は颯爽とダグアウト横へ。グラウンドに一礼をして立ち去った。

ビジョンに映しされてから去るまで約1分半という、一瞬の出来事だった。

もちろんナインにも事前に知らされていないため、スタンドそして本人同様に選手たちも唖然とした様子でその光景を見入っていた。

イチロー氏とは、松坂氏がプロ入り1年目の99年からNPBで2年間、「平成の名勝負」を繰り広げてきた。

99年5月16日に同じ場所で、当時オリックス・ブルーウェーブのイチロー氏から3三振を奪うなど勝利投手に。ヒーローインタビューでの「自信が確信に変わりました」というフレーズは今も名言の1つして語り継がれている。

06年、09年のWBCでは共に日の丸を背負い世界一連覇の原動力に。松坂氏がレッドソックスに移籍した07年からはMLBでしのぎを削ってきた。

イチロー氏はかつて「なかなか同志という存在はいないけど、大輔はそういう意味で唯一かもしれないね」と語るほどの存在だった松坂氏。引退セレモニーそして現役生活の最後を締めるフィナーレとして、これ以上ない演出となった。

(写真 / 文:白石怜平)

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