高校サッカー優勝監督 長谷川大 独自の分析方法”攻撃指数”とその活かし方とは?

こだわりを持って指数化することでオリジナルの指標に

その後、約20分間のセミナーのまとめとして3項目を提示。

長谷川は、今回共有した分析方法を各チームで活かすには「独自の指数を創り出す」ことと述べた。最初の天皇杯で示したのはシュート数・GK数、CK数の3点。それに加えてロングスローやFKの数など、チームで”こだわり”を持つスタッツを指数化する。

「全部のチームが同じやり方でやるのではなく、こだわりを持って指数化することがオリジナルの指標になり、チームごとの重みができて目標が明確化されます」と語った。

チームへの活かし方などを示した

また、指数を出すことで「チームコンセプトの見える化」が可能になるとした。先で示した青森山田では相手の陣地深くで圧力を発揮して無力化するというスタンスもあれば、前年優勝した山梨学院高では1回戦から決勝までの6試合の平均攻撃度数は実は40%である。

つまり、「より自分たちの陣地に入りそうなところをアグレッシブに迎え撃ち、素早く攻に転じ、一撃を刺すサッカー」であった。

「度数に応じてどのように戦っていくのか、チームコンセプトを見える化する必要がある。これを戦略に活かしていく、すなわち主観を練るための客観的データとして活用します」と説明した。

3つ目に、プロや高校、大学、中学といった各年代や他の競技でどんな指標が見えるのかなどを指導者で考えてみてほしいと提起した。長谷川は今、新たな指数として一例として相手の選手が攻撃度数にどれだけ貢献しているのかという”貢献攻撃度数”というのを導き出しているという。

度数によって「○番のどのポジションの選手が攻撃度数に貢献しているのか」その数字を算出している。これにより、相手の攻撃度数をコントロールする戦略を模索している最中だと語る。

お互いがやりたいことを分析し、落とし込む。これを各年代、カテゴリーで自分たちのこだわる指数を応用できるのではと考えている。

他のスポーツでもチームの特徴を”見える化”できるというのを興味深く考えていると語った。最後に、昨年選手権を制覇した際の新聞記事とともに当時の大会を振り返った。見出しに”奇策”と記されている。

山梨学院高が優勝した当時の新聞記事を紹介

そこにも触れ青森山田のように圧倒する王道のサッカーはできなかったとしながらも、

「相手と戦う時にどう自分達の良さを出していくかを分析から導いたと考えています。決して奇策ではなくて、相手と自分達の特徴を把握し、客観的データと導きだした戦略を組み合わせ、選手とともに勝利を創り上げるという挑戦をしたことで結果が出たと思います」

と勝因についても”分析”し、最後を締めた。(おわり)

☆本編の動画はこちらからご覧になれます(35:25頃〜56:50頃)

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