高校サッカー優勝監督 長谷川大 独自の分析方法”攻撃指数”とその活かし方とは?
こだわりを基準化する「攻撃度数」
続いて、長谷川の視点は”こだわり”をゲーム分析に活かすことを挙げた。
そのこだわりとは「攻撃度数」という基準である。これが冒頭で述べた指数になるとした長谷川は、各チームごとに比べることで自軍の攻撃や守備の戦略を立てていった。
まず、相手コートでアグレッシブに戦う基準を設けた。自分たちのコートで戦うのではなく、相手のコートにいかに侵入してどれだけ攻撃を終えられるかという攻撃度数を設定したのだ。
これらを組み立てることで、ゲーム分析から目指すべきチーム像そして倒すべき相手像を顕在化してチームへ共有した。
一例として、神奈川大学とジュビロ磐田が天皇杯で対戦した際の公式記録を用いて解説した。
用いる数値はシュート数・ゴールキック数(GK)・コーナーキック数(CK)の3つ。最もシンプルな攻撃度数の設定方法という。
注目する点は上図の黒丸の比較である。自チーム(神奈川大)は黒丸で囲み、シュート数(14)と相手(ジュビロ磐田)のGK数(12=相手から奪ったGK数と仮定)、自軍が奪ったCK(5)の合計値(31)が自軍のアタックポイントと設定する。
一方、青丸としたジュビロの合計は17、これをダメージポイントとし、自軍のアタックポイントとの割合を抽出する。この試合での割合は65%となる。
長谷川はここで、「両者を比較し、50%を超えている=相手の陣地で攻撃を終えている割合が高い。より相手陣地で戦っている、これが攻撃度数です」と述べた。
攻撃度数の活用プロセス
公式記録から指数を出すことで、「相手の陣地で攻撃ができているか」「逆に押し込まれているのか」など自軍の現在地が見えてくる。
それに応じて選手やスタッフにその根拠について考えることを促し、改善する。ここで、重みをポイント化することについて説明した。
「我々はロングスローを武器にしているチーム」「フリーキックを武器にしているチーム」の場合、FKの数やロングスローの数をポイント化して先の集計欄に付け加える。それぞれのチームの重みをポイント化し、ランク付け検証していくことで応用する。
これを繰り返し、目指すべきスタイルを顕在化しチーム全体へと共有していく。
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