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【特集】戦場への帰還 ~不屈の精神と長き闘いの記憶~ リコーブラックラムズ東京・松橋周平① 3度の前十字靭帯断裂「長くプレーするために考え方を変えた」

競技復帰まで半年以上を要する前十字靭帯の怪我

膝の前十字靱帯とは、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間に存在し、両者の骨をつないでいる靱帯。

大腿骨と脛骨の間で後十字靱帯と交差しており、前十字靭帯は脛骨が前へ出ないように、後十字靱帯は脛骨が後ろへずれないように動きを抑制している。

この靭帯が損傷もしくは断裂してしまうと膝の不安定感や、膝が抜けるような感覚(膝くずれ)が生じることがある。

損傷もしくは断裂の原因としては、今回の松橋のようにタックルを受けるなどといった相手との接触によって起こるケースや、ジャンプの着地や急な方向転換・急停止時に発生することが多いとされている。

靭帯断裂の大怪我を過去3度負いながらも復帰を果たしている(提供:リコーブラックラムズ東京)

前十字靭帯は関節内にある靭帯なので血流が乏しく、一度切れてしまうと自然治癒の可能性はほぼない。保存的な治療では機能回復が期待できないため、競技スポーツに復帰する場合には手術を勧められる。

損傷した靱帯の代わりに、自身の腱(自家腱)を移植する「前十字靭帯再建術」が一般的で、術後は長期に亘るリハビリが必要になる。競技復帰までには半年以上を要し、長い場合には1年ということもある。

JISSでは異種目のアスリートと交流する機会に

松橋は実は大学時代にも一度左膝で同じ怪我を負っていた。そのため、受傷した際も上述の本人の言葉通り、察しはついていた。

ただ、長いリハビリで残りのシーズンを全休しなければならないことに加え、日本で開催されるW杯まで2年を切ったタイミング。ジェイミー・ジョセフHCの新体制からメンバーに入りアピールを続けてきただけに、焦らない方が酷な話であった。

そして17年の11月に手術し、ここからリハビリが始まった。日本代表としてW杯に出たいと人一倍思っていただけに、はやる気持ちもあった。

ただ、一方でトレーニングも並行して行うなど冷静にその日その日のベストを尽くし、復帰への道を一歩一歩進めていった。

JISSでは異種目のアスリートと交流を深めた

松橋は主に国立スポーツ科学センター(JISS)でリハビリを行っていた。JISSでは異種目のアスリートと交流する機会となり、取り組む姿勢など情報交換する貴重な場となっていた。

焦りがあった時には、現在北海道コンサドーレ札幌でプレーする西大伍(当時:鹿島アントラーズ)に相談するなど、アスリート同士の交流は大きな刺激や励みにもなっていた。

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