「真っ直ぐだけでもこれだけ抑えられた」埼玉武蔵ヒートベアーズ・由規 ヤクルト時代に自信を掴んだ地元での”全球ストレート”

「変わらないきゃダメだぞ」伊藤智仁コーチとの二人三脚

そして2010年、この時にキャリアハイの成績を残す。豆を潰し満足に投げれない状況を打破するべく、伊藤智仁コーチと取り組みを変えていった。

「智さんから『投げ方とボールの握りを同じように投げていても、同じ結果しか生まれないからどっかで変えなきゃダメだぞ』とアドバイスをいただいて、そこが転機だったと思います」

これまで行ってきたことを変えるのは勇気が要る。ただ、このままでは一軍には居ることはできても、活躍することはできないかもしれない。由規は全てを変えるために練習に励んだ。

そして、伊藤コーチも熱心に由規に付き添って指導した。打たれても「とにかく練習だ」と発破をかけ背中を押した。では、具体的にどう変えていったのか。由規はこう説明してくれた。

「上半身の使い方なのですが、”後を小さくして前に大きく投げる”イメージです。より効率よくボールに力を伝えるために、その時に教えていただいたのが”脱力する感覚”。ボールを浅く握ってリリースの瞬間に力を入れるようにして投げていました」

ただ、最初はしっくりとは来なかった。この年は開幕2戦目の巨人戦（東京ドーム）に先発し初勝利をするも、以降4連敗。一度ファームで調整し、実戦を積みながら教えを身体に染み込ませた。

次ページ：飛躍のきっかけとなった田中将大投手との投げ合い