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「最も自信のある球はストレート」埼玉武蔵ヒートベアーズ 長尾光 夢の実現に向け遂げた本格派への”変貌”

由規らのアドバイスで覚醒した2022年

NPB入りを目標に定め臨んだ埼玉武蔵の入団1年目は、独立リーグの壁にぶつかった。7試合に登板で防御率5.74に終わり、チームが初の地区優勝を飾る裏で自身は苦しいシーズンとなった。

しかし、それでもNPB入りの目標はブレることはなかった。2年目となる今シーズンはリリーフとしてフル回転。29試合に登板し防御率1.86、右打者の被打率も.191と大きく成長。10月のドラフト候補として名前が挙がっている。

なぜ、1年目から飛躍することできたのか。その要因を聞いてみた。

「元々上体だけで投げてしまっている傾向があり、もっと下半身を使って投げなければといけないと考えました。走り込みもそうですし、身体の使い方を見直して下半身を使って投げる練習を(昨年)オフから続けていたのが1つあります」

上体だけでなく、下半身を使って投げる。野球では、投手に限らず打者も”下半身を意識して投げる・振る”という言葉が用いられる。長尾は具体的にどういった動作を会得していったのか。

「僕は右足の使い方を意識しました。右足で地面を蹴ることと・股を割って投げることです。股割りを強くしてしっかり地面を踏むようなイメージで投げました」

下半身を使うフォームでしっかりと力を伝えられるようになった

長尾にこのアドバイスをした人は身近にいた。10年に当時日本最速の161km/hをマークし、ヤクルトや楽天で活躍した由規投手コーチ兼投手である。

長尾と同じく昨シーズンよりヒートベアーズに入団し、今シーズンからコーチの役割も担うことになった。由規も長尾に下半身を使って投げる重要性を説くとともに、もう1つアドバイスをしていたという。

「僕は制球に課題があったのですが、由規さんからはプレートの立つ位置についても助言をいただきました。元々は三塁側の一番端から投げていたのですが、『斜めになる分、コースが狭くなるから、真ん中に立ってホームベースとの直線のラインを意識すればコントロールもよくなる』と教えていただきました」

長尾は三塁側寄りから投げていたのは、振り出した右腕から真っ直ぐに引いたライン上に右打者の内角、また、左打者にも対角線上で内角を攻められるため、いずれもインコースを使って勝負しやすいという意図があったためだ。

しかし、制球に課題があると述べていた通り、これまでは投球が抜けてしまい特に右打者へ死球を与えてしまうリスクを抱えていた。

「これまで抜けて右打者への死球の不安もありましたが、(プレートの)中央にいる分、多少抜けても内角に行くまでだったので、コースを広く使えるようになりました。(当ててしまう)不安が抜けたので思い切り投げられるようにもなりましたし。少しの距離を変えただけなのですが違いは大きかったです」

プレートの位置を変えることで思い切り投げられるようになった

また、技術面においてはさらにもう1つ変化を加えていた。

「これまでインステップ気味で投げていたのですが、調子が良い時の動画を見ると真っ直ぐ踏み出していました。由規コーチや辻空さんには、インステップのことをよく指摘されていたので、ここを直すことで球の出力が上がったと感じています」

これらの取り組みが実り、球速もMAX 140km/h台後半だったのが150km/hを超えるまで向上した。

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