
埼玉武蔵ヒートベアーズ 角晃多球団社長「身体の強さと資本力が選手の価値」ロッテ時代の教訓と独立リーグでの選手生活
生き残る上で必要なのは「年間を戦う身体の強さ」
ロッテでプレーした6年間を通じて、どんなことを感じたか。このように語ってくれた。
「技術の違いと言うよりも、年間を戦っていく身体の強さ。純粋にバットを振る力など、そういったものを含めて技術と言ってしまえばそうなのかもしれないですが、身体の強さの違いをすごく感じました。
NPBの一軍は一時期調子が良かったから行ける場所ではなく、良い状態で走りきる体力・スタミナが必要なんだと。僕にはそれがありませんでした」
ロッテでの経験は、この後務める独立リーグでの指導において役立った。選手へもこうアドバイスしていたという。
「厳しい練習を積み重ねて体が持つかどうかといった、資本力の違いが結果的に技術へと繋がっていきます。なので、ベアーズの選手たちにも、『身体の強さと資本力が選手の価値』だと伝えていました。
どんなに技術を持っていても、身体の強さがなかったら技術も発揮できない。そこをすごく勉強させてもらったので、経験できて良かったと思っています」
「知らない世界を見てみたい」ベアーズに入団
14年にロッテから戦力外通告を受けた後は、合同トライアウトに臨んだ。まだまだ現役でやれるという思いを持った中、最初に手を挙げた球団が当時新規参入が決まったばかりのベアーズだった。
「ロッテに入団してから支えてくださった方たちもたくさんいましたし、個人的には父の兼ね合いもあって、野球をやる環境においては優遇されていたなと思っていました。なので、自分の知らない世界を見てみたい。それでベアーズに入団を決めました」
初年度の15年はリーグ最多の73試合に出場し、打率.322をマーク。二塁手としてベストナインにも選出された。16年は野手コーチ補佐に就任しながらさらに成績を伸ばし、打率.340を記録するなど元NPB選手としての実力をいかんなく発揮した。

「この2年間は、NPBに戻れるような状態でしっかり取り組むことを意識していました。自分自身で仮に戻ることを諦めていたら、ここでプレーをさせていただいている球団の方や、支えてくれる方たちに失礼になりますから」
16年には再び合同トライアウトに参加。4打数2安打とアピールしたものの、残念ながらNPBからは声がかかることはなかった。
「独立リーグに来て本当に良かった」
ベアーズで最初の2年間で変わったことがあったという。角はこう明かしてくれた。
「あの2年間で1番変わったのは、”考え方が〇〇じゃなきゃいけない”というよりも、”少し考え方の角度を変えたら△△ということもあるよね”というような、野球全般に対する考え方が柔軟になったことだと思います」
従来は、一つのことに対して自ら断定していたという。そこからアプローチを変え、今何をするべきかを自分と向き合って過ごすことができた2年間だった。
その考えにたどり着いたのも、独立リーグの環境に身を置いたからこそ気づけた部分だと語る。
「NPBでの激しい競争社会から来たので周りを意識しすぎた部分も正直ありましたし、練習量は間違いなく当時より落ちてました。
環境的に難しい部分もあったので、”結果を出すために必要な練習って何か”をすごく考えるようになりました。なので、独立リーグに来て本当に良かったと思いました」

17年、NPBに区切りをつけ現役最終年に
16年のトライアウトでNPB復帰は叶わず、ここでNPBは区切りをつけた。翌年、ベアーズで引き続きコーチ補佐としてプレーを続けた。
「一緒にやってたメンバーもいたので、共に頑張ろうという想いでしたし、ファンの方たちに対して元気な姿を見せたい、このチームをなんとか元気にしたいという気持ちでやっていました。ただ、実際は想いだけで走ったような気がします」
この年、ベアーズは経営危機に直面しており球団も存続の危機にあった。自身のプレーよりも若い選手たちへのサポートが中心となった、結果この年は27試合出場と大きく減らし、打率も.137という成績だった。
シーズン終了後は首脳陣やGMが全員退任し、次期監督として白羽の矢が立った。角は受諾するとともに現役生活にピリオドを打った。
当時はまだ26歳。プレーイングマネージャーの可能性もあったか問うと、
「そこまでやれるほど個人的に選手としての体力は残されていなかったですし、どの球団も独立リーグの監督も大変というのは分かっていたので、その余力もなかったです」
と答えた。18年シーズンから独立リーグ最年少の指揮官が誕生し、新体制を迎えた。
(つづく)
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