プロ野球OBクラブ 中学野球教室開催 石毛宏典氏「甲子園、その先の夢へチャレンジするお手伝いに」

午後はバッティング講座とティー打撃

13時過ぎ、後編はバッティング教室がメイン。投手陣は川口コーチ、捕手陣は市川コーチと別メニューで練習、野手は石毛コーチのもとに集まり講義から始まった。

プロ通算1833安打を記録した石毛コーチ。バッティングにおいては、”タイミング”と”正確性”が重要と強調した。

ここでの正確性とは、バットの芯へより正確にコンタクトするという意味。加えて最も力が入るポイントとして、釘を打つ動作に例え「(釘を打つときは)体の中で肘を支点に叩く。バッティングでも一緒」と実演しながら解説した。

例えを用いながら解説する石毛コーチ

また、下半身の使い方においては軸足について説明する。往年の名打者を例に挙げ、大事なポイントを伝えた。

「軸足は必要以上に曲げてはいけない。力を溜める足じゃない。日本の野球界で一番軸足が曲がらないバッターは王貞治さん。(一本足打法の構えを見せながら)左足の軸足は曲がらないです。イチローさんの日本時代もそう。いいバッターは軸足は曲がらない。力を溜め過ぎちゃうと前に体重移動ができなくなり、差し込まれます」

講義が終わると、3箇所はネットに向けてティーバッティング・4箇所は外野へのロングティーの計7箇所に分かれる。バッテリー陣も各ポジションでの練習が終わると合流し、ひたすらバットを振り込んだ。

ここでは秦コーチも加わり、1球1球声をかける。終わった後も気づいた点についてアドバイスを送り続けた。

守備に続き、1人1人丁寧に指導する秦コーチ

2時間近く続いた打撃練習は15時前に一旦終了したが、まだ数名打ち終わっていない生徒がいた。閉会式後に石毛コーチがそれを知ると、コーチ陣でスタッフや球場関係者に呼びかけ再度ネットを置いた。全員が打てるように配慮するとともに、時間いっぱいまで熱い指導が続いた。

今後は全国に展開を

閉会式では川口コーチが挨拶。

「今日の野球教室で教わったことをヒントにこれから野球を続け、なおかつ勉強も続けてやっていってください。野球も(大東建託にかけて)家も土台が大事です。しっかりと土台づくりをしてください。ただ、土台づくりも簡単ではないです。

コーチの皆さんも僕も完成して辞めたわけじゃない。できなくて悔しくて辞めたんだけど、でもそれなりの数字を残した。みなさんはこれから厳しい高校野球の世界に入っていきますが、ここで教わったことを心の支えにして練習に励んでください」とエールを送った。

閉会式で生徒たちにメッセージを送った川口コーチ

当時は翌月に高校入学を控えた中学3年生。昨年夏に部活動を引退して以来、久々にユニフォームを着た生徒も多くいた。

野球教室の感想を聞くとボールが重く感じたと言いながら「今まで聞いたことがなかった」「常識が覆った」などと語り、久々にグラウンドで野球ができたという充実感に溢れていた。

今回コーチを務めた石毛氏は、「子供達の目が途中から変わりだした。その熱に応えるべく指導させて頂いた。野球は、スポーツは生きていくうえで大切なことを教えてくれる。できる限り長く続けてほしい」と語った。

現在も新型コロナウイルス感染拡大の影響で活動は社会情勢を考慮しながらになるが、今後も野球界の未来を担う少年たちのため、全国に活動を展開していく予定である。プロ野球を盛り上げたOBたちも野球への情熱はまだまだ衰えることはない。

関連記事一覧