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「Matsui 55 Baseball Foundation」設立のルーツ(後編)松井秀喜さんと初めて言葉を交わし、提案したリーグチャンピオンシップの試合前

今も思い出深い松井さんとの初対面でのエピソード

また白井さんは、松井さんと初めて対面した時のエピソードを紹介してくれた。最初に顔を合わせたのは、04年のリーグチャンピオンシップの試合前だったという。

この年松井さんはメジャー2年目で31本塁打をマークし、名門ヤンキースの4番を張っていた。しかも、相手は宿命のライバルであるボストン・レッドソックス。緊張感も張り詰める試合になることは容易に想像ができる状況だった。

そんな中でも松井さんは試合前に時間を確保してくれた。

「試合前、ウォーミングアップ前の30分ほどをいただいていました。ただ、この日は松井が遅刻したみたいで(笑)刻々と時間がなくなっていく。もう全体のウォーミングアップも始まってるんですよ。

これは話はできないかなと覚悟して待っていたのですが、そしたら松井が普段通りのような感じで『ごめんなさ〜い!』と来てくれました」

04年のリーグチャンピオンシップが2人の最初の会話だった (提供:Matsui 55 Baseball Foundation)

松井さんは、この日初対面だった白井さんの話にしっかりと耳を傾けてくれた。当時の心境を交えながらこう続けた。

「『着替えながらですけども、聞きますので』と言ってくださって僕は話し始めるのですが、さすがにとても大事な一戦の前、しかも突然来た身でしたから、正直手応えはありませんでした。

それでも松井は、話を聞いてくださって『よく分かりました。ちょっと考えてまた連絡しますね』とその場で話して終わりました。そしたら、しばらくして連絡があって『一緒にやりましょう』と言ってくれたんです。

レッドソックスとのプレーオフという大事な試合の前。しかもウォーミングアップも始まっていて、そんな中で話を聞いてくれた。さらに一緒に仕事を始めるきっかけになったので、僕にとって非常に思い出深い最初の対面となりました」

この時の提案から現在へと繋がっている(4月の野球教室にて)

当時白井さんは、スタテンアイランド・ヤンキースに加入した1年目。1Aのスタッフがトップチームのメジャーリーグで4番を打つ選手と話すかつ、全米が注目する一戦の前というのもあり、その心境を振り返った。

「僕も緊張していましたし、チームもピリピリしてたし、しかも時間がない中で話して『しっかり伝わったかな…』と不安だったのですが、後にこのことを話したら『ちゃんと話は聞いてましたよ』って言っていました(笑)。あの時行って本当に良かったと思いました」

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