「自分自身にテーマを課す」元プロ野球選手・喜田剛が明かす競争社会を生き抜いた”術”

”出し切る”をテーマに意識改革を断行

焦りと不安の中でも2軍で結果を残しつつあった喜田は、4年目にメンタル面での改革を行った。

「この時期から自分にテーマを課したんです。”出し切る”というのをテーマに。その日、出し切れたかどうかを寝る前に部屋の鏡の前で自問自答するのをルーティーンにしました。

『俺は今日出し切れたか?』できたと思ったら寝る。それができていないと思った時に納得するまで素振りをすると決めました。そうすると、ライバルとか新聞が自然と目に入らなくなってきたんです。

自分がやるべきことをプラン立てた通りにやってどう出せたかに重きを置いて4年目からは取り組みだしたので、それで精神的にだいぶ鍛えられましたね」

その言葉通り、4年目の05年・翌06年はウエスタン・リーグで2冠王に輝くなどファームでは敵なしに。翌07年5月に広島に移籍してからの飛躍へと繋がっていった。

「一瞬一瞬全力を出し切って、1打席でもそうですし1試合だと4打席。1試合出し切れたことの積み重ねが、143試合で1年。それが10年と積み重なっていく考え方になりました。

自分の中で、一瞬一瞬を出し切れたかそうでないかが判断軸になりましたし、ライバルがどうとかそんな事は気にならなくなって自分自身がブレなくなった。これは経験して初めて気づきました」

自身のテーマを決め、そこに向けて全力を尽くす。それはドーム社へ入った後にも活かされている。入社後最初に配属された「アンダーアーマー ベースボールハウス川崎久地店」では、店長として売り上げ目標を13ヶ月連続達成するなど結果を残し続けてきた。

「今の仕事もゴールに向かってどうやったら達成できるか、そのためのプランや目標を立てて徹底してやる点が今の仕事にも活かされている部分です」

次ページ:若い選手たちへの”金言”

関連記事一覧