• HOME
  • 記事一覧
  • スポーツビジネス
  • 「私は絶対に戻るので」語り合った復帰後のビジョンとは?ミズノ・藤田真之介さんと池江璃花子選手 復活を支えた絆のストーリー(後編)

「私は絶対に戻るので」語り合った復帰後のビジョンとは?ミズノ・藤田真之介さんと池江璃花子選手 復活を支えた絆のストーリー(後編)

「みんな池江選手のことが大好き」全員が涙した復活劇

不屈の精神で病を克服し19年12月17日に退院、以降トレーニングを重ねて20年3月にはプールに入れるまで回復した。

そして同年8月29日、東京都特別水泳大会(東京辰巳国際水泳場)の女子50メートル自由形に出場。日本学生選手権の参加標準記録(26秒86)を上回る26秒32を記録し、レース後に涙も見せた。

「一言で表すのも何なのですが、感動です。契約してるからとか関係なく、みんな池江選手のことが大好きです。退院した後もすぐビデオメッセージを贈ってくれました。おそらく出歩くのも難しい中だったとは思うのですが、弊社の展示会も『顔を出したいです』と言ってわざわざ来てくれて。

それで社員の前で話してくれたのですが、私もですが全員感動して泣いてしまいましたよ。本人も涙ぐんでいました。そんな出来事もあって、復活をしてくれた時の感慨深いものがありましたね」

復帰、そして五輪で泳いだ姿もその場で見守っていた

復帰後は順調にタイムを伸ばし、東京五輪の代表選考レースでもあった昨年4月の第97回日本選手権では4冠(女子100m自由形・バタフライ、女子50m自由型・バタフライ)を達成。

400mフリーリレーの派遣標準記録(54秒42)を突破し、「女子400mメドレーリレー」・「女子400mフリーリレー」そして「混合400mフリーリレー」の3種目で東京五輪代表の座を掴んだ。

「『私、絶対に戻ります』という言葉をいただいて、我々が『大丈夫かな…』なんて思ったら申し訳ないなと。本人はネガティブなこと考えていなかったと思います。ただただ”すごい”の一言ですよね」

笑顔と涙の五輪本番、藤田さんが触れた池江選手の人柄

そして迎えた東京五輪。藤田さんらミズノ社員も現地でその勇姿を見守っていた。その時に触れた池江選手の人柄について明かしてくれた。

「オリンピック期間中、僕らも会場に入らせていただきました。もちろん我々から選手へむやみに声をかけることはしないようにしているのですが、池江選手は自ら声をかけてくれるんです。

最終日だったかな?『藤田さーん!』とか笑顔で言ってくれてたので、その時にはほっこりしましたね。ただ、インタビュー見たら泣いておられましたので気持ちが伝わってきました」

3種目に出場し、メダルには手は届かなかった。それでも決勝まで進み、最後まで世界の舞台で善戦し泳ぎきった。競技最終日には、

「1度はあきらめかけた東京五輪だったのですが、リレーメンバーとして決勝の舞台で泳げて、すごく幸せだなと思います」

とコメント。喜びの涙を流した姿は日本中に感動と希望の光を確かに照らした。

次ページ:「笑顔になってくれることが何より嬉しい」

関連記事一覧