北海道日本ハムファイターズ 新球場に込められた挑戦「コミュニティ形成に寄与する球場へ」

国外のスタジアムを数十箇所視察

小川さんは海外のスタジアムへ視察に行き、約3年で40か所以上の球場を回った。野球以外の競技場も数多く回ったという。
 
「アメリカの球場に加え、ヨーロッパのサッカースタジアムや韓国の球場も見ました。あとは過去に使用したオリンピックのスタジアムも視察しました」
 
数多く見た中で特定の球場を参考にするのではなく、北海道という場所に合ったものをつくる。ここが根底にあると語った。
 
「例えば、アメリカのスタジアムのあり方がそのまま北海道で成功するとは限らないので、土地に合った施設ができることが球場運営において基本と考えています」

北海道の気候や土地にあった施設をつくることがベースになる

夢や想いを持って挑戦する

ファイターズは「Challenge with dream」という経営理念を掲げている。
 
“夢を持って挑戦する”
 
現場の選手・監督だけでなく、球団に携わる全員が共通して持つマインドであり、プロ野球界で前例のない挑戦を続けてきた源だ。
 
「夢・想いを持って挑戦するというマインドが組織としても強くあります。このプロジェクトにおいても同様に常識にとらわれないで取り組んでいます」
 
従来、国内のスポーツ界ではスタジアム建設という単体のプロジェクトで行われてきた。ファイターズはさらに発展させたものを生み出そうとしている。
 
「球場単体ではなくて球場と街一体を含めて『“ボールパーク”と呼びましょう』と考え方に基づいています。北広島市や北海道のまちづくりの観点から、社会とどう一緒にこの場が創られていくのかという側面もあると思っています」

1月の新球場名称決定の記者会見。命名権は国内最高の契約金額となった

野球興行においても、野球に興味のない方も含めてチームに愛着を持ってほしいという想いがある。「ESCON FIELD HOKKAIDO」は、今までの興行的な側面を超えたボールパークの在り方を体現するものにしたいと考えている。
 
「『コミュニティ形成に寄与する球場はどうあるべきか』というのが、我々の“ボールパーク”という概念の根幹にあります。ファンや地域住民、観光客など多様な方々も訪れたくなるようなエリア・球場にしていきたいです」
 
プロジェクトにおける挑戦は球場だけにとどまらない。球団は”社会”という大きな括りで捉えている。次回は「HOKKAIDO BALL PARK F:VILLAGE」編をお届けする。

つづく

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