「会社は果たして令和を迎えられるのか…」倒産の危機を乗り越え転じた”2つの攻め”〜連載インタビュー第3回〜

そうは言えども、研究成果も出始めかつ検体も集まってきている。さらにAuB社として製品化は目の前まで見えており、走り始める時期でもあった。

”まさにこれから動き出す”

このタイミングがむしろ事を複雑にし、悩みをさらに深刻にさせる。鈴木はこう続ける。

「ちょうど資金調達が難しい時期だったと思うんですよね…会社の成長的にも、腸内細菌という分野としても。それでも各方面に話を聞いてもらって前に進んでいくわけです。

ただ、調達まで辿り着かない。これはマズいと。毎日毎日がお金が出て行くだけで収益がないので。年明けから動き出していましたが、動き始めても手ごたえがない。そんな毎日でした」

毎日眠れないほど壮絶だった日々を語る

そして何よりも避けたかったのが「宝のデータとなった、アスリートの便検体を無駄にしてしまう」こと。これまで協力してくれた方々のことを考えると、最も耐えがたい気持ちだった。

「資金がなくなったらおしまいじゃないですか。もう吐き気が止まらなかったです。朝起きたら吐き気がするみたいな。せっかくアスリートがサンプルを提供してくれて、投資家が出資してくれたにも関わらずそれを実現できるかどうかでしたし…」

それでも、AuBには多くの方が将来に期待しているのは紛れもない事実。アスリートのみならず、そして追加の資金調達の過程でも「事業にすごく興味を持っています」「この分野は今後伸びて行きますよ」などと言ってくれる方たちが多くいた。

そして鈴木自身もサッカー選手として第一線で活躍した”プロアスリート”である。

浦和レッズの主将も務め、日の丸も背負った。あの熱狂的なサポーターの期待に応え続け、幾度の逆境を乗り越えた精神力は伊達ではない。ここから真骨頂を発揮する。

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