川崎ブレイブサンダース「&ONE」プロジェクト SDGs目標達成に向けた方程式は「3+8=11」

経営陣で約4ヶ月にわたり議論「このプロセスが良かった」

地域に愛され続けるクラブになるために取り組むと決めた「SDGs」。

まず始めるにあたり、元沢は書籍を読んだりセミナーに参加もするなど知識を溜めていった。しかし、知れば知るほどやりたいこと・やるべきことが多いことが明らかになっていく。

クラブにかけられる人的・資金的リソースは限られるため、全てはできない。かつ、やろうとすれば中途半端になってしまう。そう考えた元沢はマネージャー陣を集め、まずは17目標のうち何に絞るかを議論した。

5〜6人の少人数で、「本当にそれがいいのか」「具体的にどんな取り組みができるのか」など、約4ヶ月かけて話し合いを重ねた。

インタビューに協力いただいた元沢代表

元沢は、このプロセスが後々振り返ると良かったと語った。

「まず議論するにおいて、社会にとってプラスになる取り組みなので、誰も反対はしないです。ただ、具体的に各論とか細かい話になると意見の相違というのは必ず出てくるんですよね。

そこで議論が詰められたのがよかった。私自身もみんなと議論している中で自分の頭がどんどんクリアになっていきましたし、今考えるといきなり全部取り組もうとすると中途半端になったので、そういう意味でもお互いに納得しながら絞り込めたので意味があったと思っています」

目標は「3+8=11」

約4ヶ月議論を重ね、最終的に絞り込んだのはSDGs 17目標のうち「3:すベての人に健康と福祉を」「8:働きがいも経済成長も」「11:住み続けられるまちづくりを」の3つであった。

クラブが制定した「&ONE」で取り組む3つの目標(クラブ公式サイトより)

3番はスポーツを通じた健康・福祉の創出、8番はホームゲームで実践できるショータイムなどから紐付いた。そして2つの目標を合わせることで11番”住んで幸せな街”を実現できるという結論に至った。

ただ、絞り込む過程で時間をかけて議論をした。元沢はこう明かしてくれた。

「一番の論点はすごくシンプルで、SDGs・環境問題で最もメジャーなのはCO2削減やリサイクル・リユースのところだと思うんですね。あとは食品ロス。そこにフォーカスしなくていいのかが議論に時間をかけたところでした」

いざやるとなるとさまざま矛盾が出てくる。ホームで試合を行うケースで考えてもそれは明らかだった。

「CO2削減のためにプラスチックを廃止した場合、アリーナの包材を全部変えなければいけない。そのコストアップに耐えられるのか。1つの施策がきれいにできても、飲食以外でプラスチック材を使っているといった話も出てきますから」

最終的にクラブの持つリソースでできることに注力する。元沢が当初想定したいたことに立ち返り、項目を絞り込んでいったのだ。

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