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プロ野球OBクラブ「Autograph Collection」OBとファンをつなぐ”夢の空間”ができるまで

直接聞ける現役当時のエピソード

イベントが始まると、参加したファンとOBの直接会話できる夢の空間に一変する。

ファンから「一番印象に残った投手・打者は?」「今のチームはOBとしてどう見ていますか」と質問をしたり、「小学生の時から今もずっと応援しています」などと長年の想いを伝える機会にもなっている。

中にはプロ野球のシーズンで、球場で観戦しながら参加する方も。使用するパソコンから球場音が聞こえ、OBから「今、試合どうなってますか?」などと逆に質問するなど、このイベントだからこそ見られるシーンである。

OBの方々もサインをしながらファンのこだわりに思わず目を奪われることも。

”ホームランアーチスト”と呼ばれる美しい放物線を描き通算474本塁打、20年に野球殿堂入りを果たした田淵幸一氏(元阪神・西武)の回では、入団時のユニフォームを着た写真が届いていた。

「たぶんルーキーの頃の写真ですかね?」と当時を懐かしむ表情を見せながらペンを走らせる。

当時の写真を手に思い出を語る田淵氏

そして本イベントでは、当時の思い出や裏話を聞くことができるのも楽しみの一つ。

田淵氏は現役時代に最も印象的な投手について質問を受けると、阪神で形成した”黄金バッテリー”の相方、江夏豊氏(元阪神他)の名を挙げて入団当初のエピソードを披露した。

法政大からドラフト1位で入団した田淵氏のプロ1年目、69年の春季キャンプ。江夏氏の球の威力に押され、キャッチャーミットが動いてしまっていた。ただ、これが”アーチスト誕生”のきっかけでもあったという。

「江夏の球をしっかり捕るためにキャンプから鉄アレイで左腕を鍛えたんです。そのおかげで引き手が強くなってホームランを打つバッティングにもつながったんですよ」と”戦友”との思い出を笑顔を交え語った。

縁を繋いだ1本のリストバンド

ファンから届けられるサインの品。こだわりのグッズに加え、OBとファンの間で実際にあった出来事や思い出が詰まったものもある。

一例がG.G.佐藤氏(元西武・ロッテ)の回。終盤に差し掛かった頃、リストバンドと共に添えられた観戦チケットと手紙が手元に。そこには、G.G.佐藤氏が実際に使用していたリストバンドであると記されていた。

感謝の意を伝えたG.G.佐藤氏

出来事があったのは08年。G.G.佐藤氏が日本代表に選出された北京五輪前、東京ドームで行われた壮行試合でのこと。

イニング間のキャッチボールを終えると、当時観戦していた小学生に着用しているリストバンドをその場で外してプレゼントしてくれたのだという。今回の送り主はその子の父親だった。

G.G.佐藤氏がイベントに参加することを知り、思い出の深い大切なものであると同時にそのお礼も伝えたいと手紙を添えて送ってくれたのだった。

G.G.佐藤氏本人も直接話を聞き、驚いた表情を見せながらサイン。「僕も本当に嬉しいです。こちらこそありがとうございます!」と思い出の”記録”と”記憶”が確かに繋がった瞬間となった。

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