
福岡ソフトバンクホークスジュニア 2025年度は改革と挑戦を力に、堂々の大会準優勝を果たす
1月11日、ヒルトン福岡シーホークで、福岡ソフトバンクホークスジュニアの解団式が行われた。
2年連続の決勝進出、そして準優勝の成績を収めた鷹戦士たちが2025年の活動にピリオドを打ち、次のステージへと羽ばたく日となった。
解団式の模様に加え、新監督就任そして球界初の新たなチャレンジとともに戦い抜いた2025年のホークスジュニアを振り返る。
(取材 / 文:白石怜平、写真は全て©SoftBank HAWKS)
ジュニアトーナメント準優勝を成し遂げたホークスジュニア
この日は「NPBジュニアトーナメント KONAMI CUP 2025」を戦った16人の選手と保護者に加えて、嘉弥真新也監督、若林隆信・三代祥貴 両コーチらスタッフが再び顔を合わせた。
24年に優勝を果たしたホークスジュニアは、大会連覇を目標に掲げて臨んだ。グループリーグでは全勝で1位通過し、準決勝でも東京ヤクルトスワローズジュニアに勝利すると2年連続で決勝戦へ。
相手はトップチームと同じ阪神タイガースジュニアで、互いに本塁打合戦になるなど打撃戦となったが一歩及ばず。しかし、準優勝という堂々たる結果を残した。
解団式を迎えたこの日、選手たちは大会最終日以来となるユニフォーム姿で登場。嘉弥真新也監督とともに、三笠杉彦 取締役兼GMやスポンサーの方々へ結果を報告した。
冒頭に三笠GMは挨拶と共に、チームへ労いと感謝の言葉を述べた。
「本当に素晴らしい戦いで、ホークスのユニフォームを着てプレーするにふさわしい選手・チームだったと感じています。
福岡ソフトバンクホークスは『目指せ世界一!』のスローガンと共に、サブスローガンがあります。それは『最強の追求』と『感動の創造』です。
皆さんは連覇を目標に最強を追求し、そして自分自身や周りのみなさんの感動を創り出すことを実現してくれました。私もホークスにいる者として大変誇らしく思っております。 本当にありがとうございました」
就任一年目のシーズンを終えた嘉弥真監督。選手の選定からチームビルディング、そして試合の采配など全てが初めてのチャレンジだった中、準優勝という結果に結びつけた。
「選手一人ひとりが真剣に野球に取り組み、自分たちで考えて行動ができるチームになったと思います。勝つ喜びや負ける悔しさ、そしてうまくいかなかった日々を経験できた 4ヶ月間でした。ご家族・スポンサー・関係者の皆様のおかげでとても充実した期間になりました。 心から感謝申し上げます」

選手を代表して主将を務めた宮城大心選手が挨拶。丁寧に記した紙を用意し、感謝と未来に向けた想いを語った。
「大会は悔しい結果で終わってしまいましたが、一生の仲間と出会い、素晴らしい環境で毎回練習や試合をすることができたことは、僕のこれからの人生の中で本当に大切で貴重な経験です。
これからも仲間であることは変わらないので、何かあった時は仲間を頼ってください。本当にありがとうございました」

そして選手たち数名から、ホークスジュニアを通じて成長した日々について発表。
選手全員が支えてくれた保護者へ感謝の言葉を贈ったあと、監督・コーチから一人ひとりへサインとともに記したメッセージが手渡された。
その後選手たちからも首脳陣・スタッフへのお礼の色紙と花束が贈られ、みんなが笑顔でホークスジュニアを“卒業“した。

“考える野球を”継承した嘉弥真監督
2025年、ホークスジュニアは新監督のもとスタートを切った。
前年にジュニアトーナメントで09年以来の優勝を果たし、有終の美を飾った帆足和幸前監督の後を受け、嘉弥真監督がその大役を引き継いだ。
現役時代の嘉弥真監督はホークスとスワローズに在籍し、24年までの13年間で通算472試合に登板。貴重な左のサイドスローで主にリリーフを務め、ホークス在籍12年でリーグ優勝4回・日本シリーズ優勝6回にも貢献した。
監督に就任するとジュニアトーナメントを全勝で連覇を目標に定め、帆足前監督が築き上げた野球を継承していった。
帆足前監督が掲げていたのは”考える野球”。球団が制定した育成方針である「ホークスメソッド」に”「気づき」を与え、自ら考えることを促そう”と記されている。
首脳陣からワンプレーごとにその意味を問いかけるなどを通じて、選手たちの思考力を伸ばしていった。
ホークスジュニアとして活動した約4ヶ月間で成長したポイントを問うと、嘉弥真監督は「一番は選手それぞれに考える力がついたことだと思います」とし、グループリーグ全勝を決めたオリックス・バファローズジュニア戦後にもこう語っていた。
「周囲への挨拶や気配り、そして試合での声かけなど行動の質が変わりました。レギュラー・控え問わず全員が『自分が今何をできるか』を考えながら行動できていますし、それを僕たちから指摘することなく自分たちで進んでやっていますので、そういった姿勢が結果につながっていったと思います」

選手個々に考えて自主的に積み重ねた練習は、大舞台で結果へと表れていた。
投げては初戦の横浜DeNAベイスターズジュニア戦で勝利投手、打っては決勝の阪神タイガースジュニア戦で本塁打を放つなど活躍し、大会優秀選手に選ばれた石光奏都選手。
石光選手は自ら怪我をしない体づくりをテーマに掲げ、ストレッチを自分で調べながら毎日継続していた。

また、2試合に先発するなど3試合に登板し2勝を挙げた萩原蒼大選手は強気な投球が持ち味で、本来は力勝負を挑む投球スタイルだが、
「今日は寒さがキツかったので、球速を出すのは厳しいかなと思っていました。なので、打ち取るピッチングに切り替えました」
と気温が上がりきらない朝でかつ風も吹きつけていた状況に対して、自ら柔軟に対応して見せた。
このように”考える野球”は確実に浸透し、成長と結果に結びつけていた。

データ計測と自主練習で中学生にも負けないフィジカルに
そして、ホークスジュニアには球界初の挑戦があった。それは育成年代のデータ解析である。
ホークスは野球界でも先駆けて、最新テクノロジーを活用したデータ解析を導入してチーム強化へと繋げてきた。
そのノウハウをジュニアチームへと展開することで、パフォーマンスアップのみならず育成年代の成長にも寄与させるべくスタートした。
ホークスジュニアへの入団を志す選手を対象に、4月末と5月末に練習会を開催し、計測機器を用いて投球速度や回転数、スイング速度を数値化。
選考会に向けたポイントやジュニアチームで実際に行っているトレーニングなどを伝授するとともに、自主練習用の課題ドリルを提供し、次の練習会や選考会までの成長もサポートした。

若林隆信コーチは練習会を振り返った際、子どもたちが計測を行う意味については心身両面の成長に好影響をもたらすと話していた。
「数字が出ると、子どもたちは『次はもっと数字を上げてやろう!』という気持ちが強くなっていきました。
『もう一度お願いします!』と、どんどん次のプレーへ挑戦していったので、次の目標に向かって頑張っていく向上心や、野球への意識を高めていくことにつながったと感じています」
2回の練習会にかけては球速が6km/h増、スイング速度が11km/h増という記録をマークした選手もおり、計測を行うことがモチベーションそして技術の向上に大きな力となった。

また若林コーチは昨年6月、「ジュニアチームで2年間、コーチをやって強く必要性を感じたのがフィジカル面でした」とも述べていた。
これを踏まえ、チームでのトレーニングや自主練習用のドリルでもフィジカル強化に関するメニューを導入。球速や打球速度の数値が上がっていき、試合でもその変化を体感することができたという。
このことについて話してくれたのが宮城選手。全試合で4番を打ったチームの要は、最も表れた変化としてフィジカル面を挙げた。
「自分も含めてみんなパワーがついてきたと思っています。最初は中学生と試合して力負けしてしまっていたのですが、今はみんなパワーがついてきて、中学生相手でも力負けせずいい試合をしてトーナメントに臨めました」
連覇というプレッシャーも少なからずあった中、激戦を戦い抜いた2025年のホークスジュニア。
身体と技術そして頭脳も鍛えた精鋭メンバーは、約4ヶ月で築いた経験をさらに力に換えて次のカテゴリーでも輝きを放つ。
(了)
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