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福岡ソフトバンクホークス・城島健司CBO 「小久保さんと僕だからこそ実現できた」戦友とのタッグで危機を未来への礎に

2025年シーズン、パ・リーグ連覇そして日本一を果たした福岡ソフトバンクホークス。

今季、チームを常勝軍団に導いた一人が新たなスタートを切った。フロントのトップを担う、城島健司チーフベースボールオフィサー(CBO)である。

現役時代はホークスそしてプロ野球No.1捕手として頂点を極め、現在はCBOとして自らもその道を敷いた常勝軍団を支えている。

今回は、城島CBOに特別インタビューを実施。全3回にわたり、シーズンで取り組んできたことや継承したい想いなどを伺った。※全3回のうち1回目

(取材 / 文:白石怜平)

5年そして10年先のホークスを見据えたファーム組織の統括

城島CBOはチーム全体の統括や小久保裕紀監督のアドバイザー、球団運営への参画など幅広く役割を担っている。

まずはチーム全体において今季取り組んできたことを、このように説明した。

「一軍と二軍しかなかった時代は、一軍監督が二軍にいる選手の調子や成長段階を把握しながら入れ替えのスケジューリングを行っていました。ですが、ホークスの場合は二軍・三軍・四軍まであります。

小久保監督が三軍や四軍の選手の状況まで全て把握するというのは、仕事が多すぎて負担になってしまいます。なので、二軍から四軍のファーム組織はしっかりと僕らが管轄しています。

監督には、『〇〇選手には今シーズンこれだけ打席を与えて今この成績で、守備はこれだけ向上しています』であったり、『フィジカルはまだこのぐらい足りていませんので、直近1ヶ月はちょっとゲームから外して、ウェイトやアジリティをメインに取り組んで数値がどう変わるかをチェックします』

といったことを正確に報告できるようにやってきました」

小久保裕紀監督と明確な役割分担と連携を行なってきた

一軍で果たすべきミッションは試合に勝つこと。ただ、目先の勝利を追うだけではなく、未来を見据えながら勝つという最難関のテーマを実現へと導いてる。

「僕たちは選手を一軍に送る準備をする側です。野球って日々いろんなことが起きますよね。選手の入れ替えがあれば、今後の展開を小久保監督と話します。

小久保監督の場合は一年一年が勝負です。ウチの優秀なスカウトが獲ってきた人材全員において、

『今何軍にいて、どのくらい打席やイニングを与えて、未来のホークスのページを刻むこの一軍のポジションに誰が当てはまるのだろうか? 順調に成長すればこの選手だけど、もしそうでなかった場合は次は誰か』

というのを見据えています。5年・10年後のホークスをしっかり見ていくために、このような役割分担で取り組んでいます」

フロントマンとして抱いている使命

ホークスでは選手として11年間プレーしたのち、19年12月に会長付特別アドバイザーとして復帰。シニアコーディネーター兼務を経て、23年11月にCBOへと就任した。

選手そしてフロントの双方から球団を見てきており、だからこそ感じたある課題があった。

「現場では毎日さまざまな新しいことが起きていますが、そのたくさんのチャレンジはフロントまでは届いていなかったわけですよ。

現場の方が人材の入れ替わりは激しいです。今は監督を10年やるケースも少ないです。 同じチームでコーチ、何なら選手でも10年プレーできることも数少なくなってきているほど入れ替えが激しいですから。

一方でフロント側の人たちが在籍する期間は現場と比べると長いですよね。シンプルに計算すると22,3歳で入社して65歳で定年となるなら、40数年もの間球団にいます。

なので今いるフロントのメンバーたちがこの2025年、小久保監督の時にどんなことにチャレンジして、どんな結果だったのかを知っておかないと、次につながっていかない。僕はそういう想いでフロントに入ったんです」

数十年積み上げてきたさまざまな挑戦を共有した

そして密に連携をとっている小久保監督。現役時代は正捕手と4番として低迷期から常勝チームへと押し上げるなど、苦楽を共にしてきた間柄。

2人にある絆も、円滑な連携を後押ししている要因であった。

「小久保監督と僕は戦友ですし、同じ時期に影響を受けた強い影響を受けた身です。そういう意味では、小久保監督も僕には話しやすいし、僕も監督にお願いしやすい立場にいます。

現場で起きている日に日に変わっていく野球を、未来のホークスのフロントに伝えたいという想いで今年はスタートして、答えとしてはすごく上手くいっています」

序盤の危機もホットラインから未来へのステップに

城島CBOが上で述べた“上手くいっている”意味は、決してチームが勝つという表面的な結果だけではなく、未来のホークスを創る上でも成していた。

今季チームは5月1日時点で借金7、順位も最下位という状態にあった。開幕スタメンだった柳田悠岐・今宮健太・近藤健介、さらには周東佑京といった主力が怪我により離脱を強いられていた。

ただ、その状況だからこそできたことがあったと語る。

「2025年の戦い方と2024年の戦い方は違いました。今シーズンはスタートからベテラン選手たちが想定以上に怪我をして離脱してしまいましたよね。ただ、我々フロント側からするとそれが全てマイナスなわけではない。

『一軍で経験させたいけども、来年もしくは再来年かな』という選手が、そのタイミングでベンチに入ったり試合に出ることを前倒しでできたんです。

一軍でしか経験できないこともありますし、ファームに戻った時に考え方や野球に取り組む姿勢が大きく変わった選手がいて成長速度がすごく変化しました。

こういう状況だからこそできたことだし、選手たちの成長を早く感じられたことはチームにとって大きかったですね」

選手の成長を後押しし、勝利へと繋げた

特に23歳の笹川吉康は、4月下旬に一軍に昇格すると5月中旬ごろまでスタメン出場の機会を得た。その後はファームでも持ち前のバッティングを活かし、ウエスタン・リーグで本塁打と打点の2冠を獲得。

日本ハムとの熾烈な優勝争いをしていた9月に再昇格し、再びスタメンを張るなど多くの経験を積んだシーズンになった。

城島CBOと小久保監督のホットラインだからこそ、円滑な入れ替えや現場の選手把握が実現し、グラウンドでの結果や選手の成長へとつながっていった。

「特にこの一軍は勝たなければならないところですし、当然ファームから戦力として上がってきているのですが、小久保監督から『〇〇選手はどうだ?』などという質問にも僕がすぐに答えています。

こちらからはいいチャンスだと思って推薦した選手でもありますし、一軍を経験したことで、“こんなに大きく変わるんだ”というのを、気づかせてもらったシーズンでもありました」

首脳陣からの要望からも柔軟かつスピーディーに実現

小久保監督と城島CBOが連携したことによって実現したことは、選手の入れ替えにとどまらない。チームの体制においても円滑ないい変化をシーズン中でも実現させていた。

「先ほどベテランが離脱して若手がどんどん昇格していった話になりましたが、開幕してから現場では想定していないことが起きるわけですよ。

ですので、現場が一番欲しているのは“スピード”なんですよね。例えば遠征から戻った1週間後では間に合わないですから」

一つの例として、5月に行った首脳陣の編成についてが挙げられた。

ホークスでは技術面をスキルコーチ、精神面を打撃コーチが担当し、さらにファームではメンタルコーチが巡回する形で、全選手が技術とメンタルの両面でケアできる体制を整えている。

ただ、ファームから若手選手が多く一軍へと昇格することなったため、小久保監督が城島CBOにある相談を持ちかけていた。

「春先では本来ファームで指導を受けるべき選手たちが、一軍に上がってきたわけですよね。監督からしたらベンチを見渡すと、キャンプの時はいなかった選手がたくさんいたわけですよ。

一方で選手にとってはただでさえ緊張する、慣れない一軍の大舞台で結果を出さなければならない。

であれば、上がってきた選手たちをキャンプからしっかり指導してきたスキルコーチとメンタルコーチがベンチに入った方がいいのではないかという要望が監督からありました。

僕は想定とは違うオーダーが来たのですが『はい、わかりました』と、その日にすぐ会議して、もう次の日にはOKですとなった。そのスピードですよね」

現場の要望をスピーディーかつ、確実に応えてきた

ここでベンチ入りしたのが、長谷川勇也スキルコーチと伴元裕・メンタルパフォーマンスコーチ。5月からここまで帯同しており、若手選手のサポートや以降のチーム躍進を支えた。

「関わる人が多くなると、スピード感に欠けてしまいがちだと思います。 たくさんの人に聞かなければならないし、それぞれ意見があるので。

ただ、そのやはりそこを解決できるのが小久保さんと僕がいるからですし、今後も臨機応変に対応できる組織でありたい。

小久保さんは監督なので現場の決定権があるのですが、僕がCBOになったことで昨年までになかった決定権がある。スピード感に関しては、昨年からさらにクリアになったと思いますね」

現場の状況に合わせた柔軟な対応をしながら、未来のフロント陣を構築するという大役も担う城島CBO。フロントの面々に伝えていることや、球団全体に根付いている文化などについても明かしてくれた。

つづく

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