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いわきFC 誕生のルーツはビジョンの共感 「市民に愛されるスポーツ団体をゼロから創る」〜いわきFC 特別連載企画(第1回)〜

「Jリーグはまだ企業スポーツから抜け出せていないのでは?」

大倉も安田の活躍を見ており、”何か生まれるかもしれない”と興味を持ったという。学生時代以来、久々に顔を合わせることになった。

安田から震災復興に寄与するために物流倉庫を建てた話をここで初めて聞いた。また、サッカーを外部から見ている所感やスポーツが社会にもたらす意味などについてアメリカの事例も交えて色々話を聞いたという。

「僕もあまり聞いたことのない話でしたし、ずっとサッカーの世界で生きてきたものですからやっぱり視野が狭くなってるなと思ったんですよ」

安田秀一 現:代表取締役CEO(写真提供:株式会社ドーム)

大倉はそう感じていた中で、さらに安田からの「今Jリーグって成功してると思ってる?」この言葉が突き刺さった。

「安田が強烈なことを言ってきたんですよ(笑)。彼はアメリカのスポーツに精通しているので、現地のリーグやチームのあり方の視点から『Jリーグってまだ企業スポーツから抜け出せていないんじゃないか?』と。

アメリカではスポーツが儲かるから良い人材が来て本当に産業化されてる。そこも踏まえて、日本のスポーツ、Jリーグはそこまで行っていない。まだ企業の宣伝活動だよねと話していたんです」

実際Jリーグのクラブでは、社長は親会社から出向し就任するケースが多々ある。企業の人事異動という形で数年で交代する流れが残っているのが現状である。

「本当の意味での地域に愛されるようなローカルスポーツ、極端に言うと10万人の人口で10万人来るような浸透度はあるかと。カテゴリの昇格を目的にするのではなくて、『スポーツを通じて人づくり・まちづくりをする』それが1番大事なのではないかという話をしたんですよ」

興味を持っていた「市民に愛されるスポーツ団体をゼロから創る」

その後は、安田の大学アメフト部の同級生で共にドーム社を創業した今手(いまて)義明・取締役専務執行役員(肩書きは当時)と3人で何度も会話を重ねた。

話が盛り上がっていくにつれ、安田から大倉に「ここに広大な土地があるからグラウンドを作ってサッカーチームを置いたらどう?」と相談を受けた。

ただ、現職でクラブの社長を務めていた大倉にとってはそれが容易でないことは想像に難くなかった。

「そんな簡単じゃないのはもちろん分かっていた。全国にJリーグを目指したいと言うチームができては潰れを繰り返してましたから。現実に資金力も必要だし想いだけではできない。僕もベルマーレの社長をやってたし、長くいて(J1昇格に向けて)これからという時でしたし」

安田氏の想いに共感し、0からクラブを創ることに(©︎IWAKI FC)

それでも、安田の復興に向けた行動や日本のスポーツ界で新たなモデルを築きたい想いは大倉の心を徐々に動かしていった。

「彼らの想いにすごく共感をして『いつか一緒に仕事をしたい』と思ったし、いわき市という被災地でサッカーが中心となり、スポーツで子どもたちの光になったり、本当の意味で市民に愛されるスポーツ団体をゼロから創るとどうやって地域が醸成されていくのか。これにはすごく興味がありました」

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