• HOME
  • 記事一覧
  • ラグビー
  • 【特集】戦場への帰還 ~不屈の精神と長き闘いの記憶~ リコーブラックラムズ東京・松橋周平② 3度の前十字靭帯断裂「自分でどんな姿で戻りたいかを描き、逆算していた」

【特集】戦場への帰還 ~不屈の精神と長き闘いの記憶~ リコーブラックラムズ東京・松橋周平② 3度の前十字靭帯断裂「自分でどんな姿で戻りたいかを描き、逆算していた」

過去2回に共通していた原因とは?

2回目の受傷の際に怪我をしない身体づくりを学び実践してきたが、コンタクトスポーツである以上、どうしても強い接触を避けることはできない。

ただ、前十字靭帯断裂は選手生命を脅かす大怪我である。これ以上再発させないよう、松橋も防止には最大限の注意を払っている。

「3回目のときに”この怪我をする時のパターン”はある程度分かりました。なので、大体そこを気をつければというのは把握してます」と語り、そのケースとケアする点を明かしてくれた。

「17年ジャパンでの怪我は、身体の疲労をすごく感じていたんです。それで身体が固くなり反応が鈍くなってといった疲れからです。それと今回シーズン途中でやった時も全く同じような状況でした」

プロに入って2回受傷した共通点があったという

17年、松橋はサンウルブズと日本代表それぞれに選ばれており、1月にシーズンを終えると、3月からサンウルブズの試合に出場し始めていた。

海外遠征に行くなど7月まで国際試合を行い、そのまま8月のトップリーグ開幕を迎えフル回転だった。昨年の再発についても疲労が関わっていたと語る。

「17年と似ていて、これはチームとしての反省なのですが、相当ハードワークをしていました。土曜日に試合だとしたら、火曜日と木曜日も試合並の強度で練習していたので、土曜日に疲労が残ったまま試合を迎える状態でした。

僕ら自身”ハードワークしなきゃいけない”という考えでいたので、そこに気づけなかった。でも、実際は練習をやりすぎていたでしょうし、怪我をした時も反応が鈍くて体も固くなっていて、相手が来ると分かってはいたのですが、正しい身体操作が行われずに無理をしてしまいやってしまいました」

冷静に怪我の原因を分析し、改善へと活かしている(提供:リコーブラックラムズ東京)

松橋の語った”ハードワーク”はブラックラムズの築いてきた伝統である。

現在キャプテンを務め、松橋の名大の後輩でもある武井日向も「ブラックラムズのラグビーは”泥臭くハードワークをし続ける”ラグビー」と語っており、チームの象徴でもある。

今シーズンはその反省を踏まえ、改めて自分の身体と向き合う時間を率先してつくるようにした。改善についてもこう語った。

「今後の改善としては、シーズンに入って体がきついのは当然なのですが、その中でどう自分の中でのベストコンディションで試合に臨むかです。調整では身体のケアも必要になってくるし、実は昨年は疲れが残りすぎた影響もあり真木さんのところも行けていませんでした。

自分と身体と向き合う時間がなかったですし、ハードワークだけはダメだというのに気づきました。ベストパフォーマンスを出して怪我を防ぐためには、自分の身体ととにかく向き合って良い習慣を作っていくことを学びましたね」

次ページ:リハビリ中に掲げた「強くなって戻らなければならない」

関連記事一覧