
TOKYO UNITE 「第5回 キッズスポーツフェス」を開催 マルチスポーツ体験の場は、憧れの世界と未来の可能性を繋ぐ架け橋に
8月23日、東京都内で「TOKYO UNITE 第5回 キッズスポーツフェス in 城東小学校」が開催された。
都内500人以上の親子が参加し、子どもたちがマルチスポーツを通じて新たな可能性を輝かせるきっかけの場となった。
(取材 / 文:白石怜平)
子どもたちがマルチスポーツを行う意義を体現
「TOKYO UNITE」は22年7月に発足し、東京を本拠地に置く8競技、15のチーム・団体が共同で行なっているプロジェクト活動。
各競技の魅力や経験そして知恵を結集させることで、各地域の課題へのアプローチや交流の場を創っている。
その基幹イベントの一つが小学生を対象に展開されている「TOKYO UNITE キッズスポーツフェス」。

野球やバスケットボールといった球技や、陸上競技などを一度に体験できるマルチスポーツ体験企画として、発足初年度から行われている。このイベントには2つの大きな意義がある。
小さい時に多種の競技を経験することで、自分に向いている競技の発見や現在取り組んでいる競技に活かすなど、新たな可能性を広げることができるのが一つ。
もう一つの意義は、経済的に恵まれない家庭でもスポーツを体験できる場であること。招待枠として上記の家庭には交通費も運営側で負担することで、“誰もがどんなスポーツでも経験できる”機会を提供している。
本フェスは過去4回行われ、昨年からは年2回へと拡大。同年クリスマス当日に行われた第4回では、両国国技館が子どもたちであふれるイベントになった。
今年度初開催となった第5回は、2部に分けて規模を拡大して行われた。
TOKYO UNITEに加盟しているチーム・団体のみならず、東京都を拠点に活動しているバレーボールチーム「東京グレートベアーズ」や、「NEXUS FENCING CLUB」「株式会社ティップネス」も加わり盛大に開催された。

校庭では野球・陸上・ハンドボールを展開
本編では第2部にフォーカスする。読売ジャイアンツ(野球)・アルバルク東京(バスケ)・東京グレートベアーズ(バレーボール)・ジークスター東京(ハンドボール)・スポーツパークパートナーズまちだ(陸上)が参加し、子どもたちは15分ごとに5競技を体験した。
野球では「ジャイアンツアカデミー」のコーチ3名が担当。
かつて近鉄・巨人・横浜(現:DeNA)で投手として活躍し、引退後も3球団(巨人・横浜・中日)で投手コーチを歴任した阿波野秀幸コーチらがボールを投げることをメインにレクチャーした。
ここでは、アカデミーで教えている“くるっとスロー”を行った。これはボールを持つ手の甲を頭に2回当てた後、腰をひねって投げる動作である。
「トントンする時にボールでやってしまうと肘が下がりやすくなるので、手の甲でトントンすると肘と肩が同じ高さになって上手に投げられます。
2回トントンしたら腰から回す。後の足・かかとが上がったら100点。次はピッチャー投げ。足を上げたらネットに向かって投げましょう」
コーチ陣は約5分間のコーナー終了時に保護者に向けて改めて説明するなど、気軽に継続できるようアドバイスを送った。

校庭では、その他陸上とハンドボールも行われた。陸上では堀籠佳宏 さんらが講師となり、速く走るための足の動かし方を順を追って説明。
「姿勢をまっすぐ。つま先が下がらないように、体のラインよりも足が後ろに行かないように、ここで三角形をつくって上げていきます」
初めはゆっくりフォームを確認してから徐々に速さを上げていき、最後は全力でグラウンドを駆け抜けた。

ハンドボールでは、ジークスター東京のピサノ ライアン海夏人選手らがパスとシュートのやり方を教えた。
子どもたちは体全体を使って投げ込み、キーパーが反応するのも難しい球でゴールネットを揺らすシーンが何度も見られた。

コーチ陣の想い「成功体験からスポーツを続けるきっかけに」
体育館ではバスケットボールとバレーボールの2種目が設けられた。
休憩時間でもボールを持ってその場でドリブルをするなど、スタートを待ち望んでいた子どもたち。バスケではアルバルク東京のアカデミーコーチ陣に教わりながら、そのドリブルからシュートまでを実践する時間となった。

今回、アカデミーコーチを務める清水英暉さんに話を伺うことができた。シュートを積極的に決めに行くなど、生き生きとバスケを楽しむ姿を見て感じたことを明かしてくれた。
「今日いろいろな競技を体験した中、最後の子たちも含めて全員が楽しんでくれて、チャレンジをしてくれたと思います。スポーツの力、そして子供たちのエネルギーを感じました」
清水さんは普段アカデミーで教えるにあたり、「ミスがあるスポーツだと思うので、ミスをしてもいい」という考えを大切にしていると語る。
相手にボールを奪われてしまう、またシュートを外してしまうなどさまざまある中で、「失敗した後に次どうやっていくかを試行錯誤できるのもバスケだからこそできること」とも考えている。
この20分間という時間の中、清水さん始めコーチ陣が子どもたちの心に残してほしいことは”成功体験“であった。
「ドリブルやシュートを1本でも決められたという喜びを味わってもらうことが大切だと考えていました。
これを一つのきっかけに、バスケや何かスポーツを続けてくれたら我々も嬉しいですし、何より”挑戦したい”と思って次のアクションに進んでもらえたらいいなと思っています」

バレーボールでは東京グレートベアーズの伊藤吏玖選手と今橋祐希選手らが参加。日本代表選手と体験ができる特別な機会が用意された。
子どもたちはボールをトスしてのパスを行い、最後はスパイクも体験した。
スパイクを行う前には、伊藤選手が自身の技を披露。身長195cmから繰り出されるスパイクで叩きつけられたボールが体育館中に響き渡ると、高さと迫力に目を奪われた。

阿波野秀幸コーチ「憧れの世界に近づいて飛び込んできてほしい」
約2時間のイベントは無事に終了。講師たちを代表して伊藤選手が挨拶した。
「教える機会がなかなかないので、選手としてもすごくいい経験になりました。今回、元気ハツラツな子どもたちと一緒に過ごせて、時間を忘れるくらい楽しかったです。
我々もバレーボールを通じてスポーツの楽しさや素晴らしさを伝えたいと思って我々も活動しているので、その一部を知ってもらえる機会をいただきました。ありがとうございました!」

終了後は、特別に阿波野コーチにもお話を伺った。指導中は子どもたちに声をかけ、ハイタッチをするなど積極的なコミュニケーションを取った。
「今日は“投げる”がテーマで、うまく投げられる子がたくさんいました。僕も声をかけたのですが、子どもたちがどんどん前向きな気持ちになれるような手助けをしたい思いでした。みんなハツラツとやっていたので嬉しかったです」

現在、アカデミーコーチとして未就学児から小学生を教えている阿波野コーチ。日々接している中で、ある課題感を感じているという。
「実は、子どもたちのボールを投げる能力というのが、低下しているんですよ。なので、我々も少しでも向上できるようアシストしきたいと考えています。
今日他のコーチと一緒に投げるコツを親御さん含めてお伝えしたので、続けてもらうきっかけになれば嬉しいです」
TOKYO UNITEの「キッズスポーツフェス」は、阿波野コーチのようなプロや世界の舞台で活躍した経験を持つアスリートたちも多く参加している。このイベントの意義と共に、自身の活動についても明かしてくれた。
「日頃一生懸命練習している子たちもたくさんいますし、憧れの世界にこのような場を通じて一歩近づいて、目標にして踏み込んでもらいたいですね。
そういった世界を子どもの時から早く体験できることは大事だと思いますので、僕は今プロ野球のOBという立場ですので、皆さんの潤滑油として今後も活動していければと考えています」
「第5回キッズスポーツフェス」は1部と合わせると総勢500人以上が参加した。
「TOKYO UNITE」を通じて、世界を代表する都市・東京から未来のアスリートを多く輩出するきっかけを創出していく。
(おわり)
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