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TOKYO UNITE「第4回 スポーツキッズフェス」マルチスポーツ体験を通じて引き出す、子どもたちの新たな可能性

昨年12月25日、両国国技館で「第4回キッズスポーツフェス」が開催された。

都内に拠点を置くスポーツチーム・団体が展開しているプロジェクト「TOKYO UNITE」が主催する本イベントを通じて、都内在住の150人の子どもたちに素敵な”クリスマスプレゼント”が贈られた。

(写真 / 文:白石怜平)

TOKYO UNITEを代表する企画

「キッズスポーツフェス」は、TOKYO UNITEを象徴する企画の一つ。

小学生を対象にしたマルチスポーツ体験イベントで、野球やラグビー・バスケなどボールを使って競技を体験する他に、現役力士による四股踏みや体力測定も行うことができる。

4回目を迎えたスポーツキッズフェス

発足初年度の22年から3年間開催しており、今年度は7月と12月の2回開催に拡大。事務局の後藤理央さんは、イベントを始めた理由をこのように説明した。

「日本では一つのスポーツ競技を小さい頃に始めると、その競技だけをずっと小学校、中学校と続けていくケースが一般的だと思います。

ですが他のスポーツを早いうちからすることで、他に向いている競技を見つけたり、今やっている競技に活かすなど、新たなきっかけを与えられるかもしれない。これらの考えからを取り組みをスタートしました」

キッズスポーツフェスが軸となっている施策の理由に、ある社会課題へのアプローチが挙げられる。

東京でもほとんどの公園でボール遊びが禁止されていることなどから、子どもたちがスポーツを身近に体験する機会が減少している。

その背景もあり、さまざまな種類のスポーツを体験することで競技や体を動かす楽しさを感じてほしい想いから、この企画が生まれた。

ハンドボールならではのシュート体験も行われた

また本フェスでは、経済的に恵まれない子どもたちに向けた招待枠を確保している。

それは、TOKYO UNITEの立ち上げから事務局を務めている井上哲さんがある話を聞いたことがきっかけだった。

「NPO法人の方たちと話していて知ったのですが、『スポーツチームに試合に招待いただくのはとてもありがたい。

でも、困窮家庭は会場に行くための交通費すら出すのが大変なんです』と。そんな話を伺ったので、それならばとフェスでは招待枠の方には親子での交通費も我々が負担しています」

子どもたちそして競技双方のメリットに

この日は事前に申し込みをした150人の子どもたちが参加。応援しているチームのユニフォームや帽子を身につけ、フィールドへと駆け降りた。

全員での四股踏みからスタートすると、野球・バスケ・ラグビー・体力測定・ハンドボール・マルチスポーツ玉入れ・卓球・ローイングという8種目の体験コーナーを回った。

ウォーミングアップとして全員で四股を踏んだ

8種目の中ではローイングが今回初めてラインナップに加わった。日本ローイング協会が賛同し、櫻間達也選手・西知希選手(共にNTT東日本)の2人が参加。

7月に行った際には「D.LEAGUE」が加わるなど、新たな競技が続々と増えている。井上さんはそのメリットについてこのように語る。

「普段はなかなか体験できないと思うので、子どもたちには『こんなスポーツあるんだ』と感じてもらえたら嬉しいです。

ローイング協会さんとしても、他競技とイベントをやることで、これだけ多くの子どもたちに体験してもらえるので、両方にとってメリットがあると思います。今後もさまざま体験をしてもらう機会を増やしていきたいです」

初参加となったローイングの櫻間選手(写真左)と西選手(同右)

豪華メンバーが参加し、他競技の体験も

野球でピッチングした後にバスケのフリースロー、そしてラグビーのパスなど大きさや形が異なるボールを一生懸命に投げ込んだ。

指導する方々も豪華メンバーで彩られ、野球では読売ジャイアンツで現役の佐々木俊輔選手や女子チームの田中美羽選手・相見菜月選手、ラグビーでは日本代表通算98キャップの大野均さん(元東芝ブレイブルーパス)が登場。

他にも現役のアカデミーコーチなどが子どもたちに投げ方を楽しくレクチャーした。

大野均さん(写真右)らが子どもたちをサポートした

特にラグビーでは、特徴であるコンタクトスポーツも体験できるように、タックルバッグも用意された。子どもたち、そして他競技の選手たちも全力で飛び込み、競技の楽しさや難しさを味わう機会になった。

タックルコーナーも大きな盛り上がりになった

大野さんはイベントを振り返った際に、以下のように語ってくれた。

「楕円球に触れる子も多かったと思いますが、その難しさだったりだからこその面白さを体験してほしかったですし、ラグビーはあとはコンタクトスポーツでもあるので、子どもたちがタックルバッグに楽しく飛び込んでいく姿を見て微笑ましく見させてもらいました」

本フェスでは選手たちも担当の合間に他競技を体験した。シーズンオフならではの貴重な光景で、笑顔を見せながら各コーナーを回った。

佐々木選手はイベントの意義も感じながら、

「いろいろな種目ができるのは、子どもたちに取って幅が広がるので、羨ましいと思いましたし、自分自身も初めて取り組むものがあったので、楽しませてもらいました」

とマルチスポーツを味わえる良さを語った。

選手たちも他競技を体験する機会になった

参加選手が贈った”持ち帰ってほしい”こと

最後はプレゼント抽選会へ。

当選者には当日参加したゲストから選手のサイン入りグッズが子どもたちに贈られ、この日にピッタリなクリスマスプレゼントとなった。

ヤクルトの村中恭兵アカデミーコーチもその場でサインした

イベントは大盛況で終了。最後に選手を代表してジャイアンツの田中選手に、この日子どもたちに持ち帰ってほしいことについて語ってもらった。

「私は野球に触れて、野球に夢中になって今も続けられています。”夢中”になることが競技を続ける上でも、楽しむ上でも大切ですので、今日やってまた『楽しいな、スポーツ好きだな』と思ってもらえたらいいなと。

今日はいろんなスポーツにチャレンジして飛び込んで行ったと思うので、

スポーツの中で楽しいだけじゃなくて、できなかったときに”もう一度やりたい”・”悔しい”など含めて、全部の感情を持ち帰ってほしいと思います」

”楽しい”・”悔しいなどすべてを持ち帰ってほしいと語った”田中美羽選手

親子が手を取り合い、充実した表情で国技館を後にした。TOKYO UNITEの24年最後を締めるイベントは、また新しい発見ときっかけにあふれる一日になった。

(おわり)

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