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「TOKYO UNITE」スローイング×マルチスポーツチャレンジを開催 新スタジアムを舞台に子どもたちへ提供した新たな可能性

3月1日、稲城市で「スローイング×マルチスポーツチャレンジ inジャイアンツタウンスタジアム」が開催された。

この日開業した「ジャイアンツタウンスタジアム」で、約250人が5種類のスポーツを一度に体験できる機会となった。

(写真 / 文:白石怜平)

投げるって楽しい”をテーマに2回目の開催

本イベントは「TOKYO UNITE」の取り組みの一環として行われた。

「TOKYO UNITE」は、東京を本拠地に置くスポーツチームや団体で結成されたプロジェクト。

22年7月に7競技・14チームでスタートし、25年2月にはハンドボールチームの「ジークスター東京」が新たに加盟するなど8競技・15競技で構成されている。

各競技の魅力や経験そして知恵を結集させることで、地域活性化や地域の持つ課題へのアプローチを続けている。

東京のスポーツチームが手を組んで活動している(昨年12月のキッズスポーツフェスにて)

今回は「スローイング×マルチスポーツチャレンジ」と題し、”投げるって楽しい”をテーマに設定。TOKYO UNITEでは昨年11月に同企画を渋谷区の中学校で開催した実績がある。

渋谷区の小学生が遠投記録において、都内他地域と比べて低い数値であったことから、記録向上を目指したプログラムについて区から相談を受けたことがきっかけだった。

その際に投げる動作を身につけるため、複数の種目で体験するという”TOKYO UNITEだからこそできること”を提案し、実現していた。

この日は野球・ソフトボール・ハンドボール・フラッグフットボールそして投げる動作と重なるエアバドミントンの5種目が用意された。

今回も”投げる”をテーマに展開された

巨人・桑田真澄二軍監督がサプライズ登場

会場である「ジャイアンツタウンスタジアム」はこの日開業した。

読売ジャイアンツの新たなファーム本拠地となるこの球場では昼に盛大なセレモニーが行われ、さらに開業記念試合として同じTOKYO UNITEに所属する東京ヤクルトスワローズとの試合が行われた。

その試合直後にイベントが行われ、子どもたちも熱戦の余韻が残るグラウンドで元気いっぱいに駆け回った。

開始前にはサプライズゲストが登場。1時間ほど前までこの場所で指揮を執っていた巨人の桑田真澄 二軍監督が姿を見せた。

保護者たちを始め、驚きと拍手で迎えられた桑田二軍監督は即席のピッチング講座を開いた。

「投げるのはとても難しいんですけども、右投げの人は右足で立つよね?

そしたら少しだけ右肩を落とす。投げた後は片足=右投げの人は左足で立って、相手が捕ったら両足で立つ。これだけ意識すれば大丈夫」

と実際に投球を披露し、グラブへ自然と吸い込まれる球に再度会場全体が驚きを見せた。

桑田二軍監督が登場し、投球を披露した

遠投ではジャベリックボールを活用

その後は5種目に分かれ、ローテーションで体験をしていった。

野球では読売ジャイアンツと東京ヤクルトスワローズ、そして遠投で同じような動きをする動作として、元陸上男子やり投げ日本代表でY-TRAININGの村上幸史さんらも加わった。

野球ボールを投げ込んだ後は、ジャベリックボールの投てきにも挑戦。体全体を使って遠くに投げ、子どもたちも自ら投げた距離の長さに喜ぶシーンも見られた。

ジャベリックボールでは”遠くに投げる”ことを重視した

村上さんはその様子を見てこのように感じていた。

「ジャベリックボールは小学生の大会でも使われているのですが、笛が鳴りながら飛んでいく面白味もあるものです。

今日は初めて投げた子もたくさんいて、きっと野球など球体状のボールを投げる機会が多いと思うのですが、普段と違う体験ができたと楽しんでくれていて嬉しく思いました」

元陸上男子やり投げ日本代表の村上幸史さん

また、ハンドボールもプログラムに組み込まれており、ここではジークスター東京から元木博紀選手が講師役に。

ここでも一度お手本を見せた後、グループの中でお互いに距離を取って投げ、元木選手も一人ひとりにアドバイスを送りすぐに上達を見せた。

ジークスター東京の元木博紀選手も子どもたちと一緒に楽しんだ

フラッグフットボールでは動く相手に投げる体験も

球体とは異なるボールを活用したのはもうひとつある。フラッグフットボールという楕円形のものも投げる経験として盛り込まれた。

ここでは、東京ヴェルディフラッグフットボールチームと東京大学アメリカンフットボール部WARRIORSの2チームが協力。

主に講師を務めたのはかつてアメリカンフットボールの世界で活躍し、”NFLに最も近づいた男”とも称された木下典明選手。子どもたちにも分かりやすい表現を用いながらレクチャーした。

「尖ってるところが投げる相手に向くように投げてください。チョップするイメージです!キレイにボールが回ります」

現在フラッグフットボール選手として活躍を続ける木下典明選手

ここでは、試合のようにお互い走りながら相手にパスをする方式を採り入れた。その意図を木下選手は以下のように明かしてくれた。

「走っている人を止めないように投げられるように意識して伝えました。あとは、楕円のボールをスムーズに回しながら投げるのは難しいと感じたかもしれないですが、握り方さえマスターすれば楕円のボールも簡単に投げられることを伝えたかったです」

屋内ではエアバドミントンを実施。バドミントンの動作は投球動作と重なる部分があるため、プロ野球選手もトレーニングに採用している。

今回は、元女子バドミントン選手の小椋久美子さんが担当した。時間配分をうまく行いながら全員がラケットを使って動かせるように一人ずつ丁寧に目を配った。

小椋久美子さん(写真左)と全員がペアを組んでシャトルを打った

宇津木妙子さんは「ボールと仲良くなる」をテーマに

そして最後、ソフトボールでは元日本代表監督で2度のメダル獲得に導いた宇津木妙子さんが登場。

幼児から未就学児童向けにつくられた「ASOBALL(あそボール)」を使ってボールを上にあげたり、”八の字”に持ち替えたりなど動作もバリエーションを織り交ぜた。

ボールの様々な使い方を実践した宇津木妙子さん

途中でノックで捕る動作も入れた宇津木さんは、

「初めてボールを持つ子もいたと思うので、”ボールと仲良くする”意識を持ってもらおうと心がけました」

と子どもたちが運動の経験問わず全員がボールを持って楽しめるように工夫を凝らした。

「少し伝えたら飲み込みも早いですし、最初は寒いから”体動かそう!”・”声出そう!”って呼びかけたらマネをして向かってきてくれました。今の子たちも可能性にあふれています」

終了後に宇津木さんは、「子どもたちはとても元気でパワーをいただきました」と充実した表情で振り返った。

約1時間半のイベントは無事に終了。たくさん動いた子どもたちは名残惜しそうにスタジアムを後にした。

TOKYO UNITEが企画・展開するイベントの大きな魅力の一つは複数のスポーツを一度に体験できることにある。その意義や想いについて木下選手と村上さんがそれぞれ語った。

「子どもたちがさまざまなスポーツを経験をして、自分がやりたいものを選べることが将来のためになると思います。その中で自分が一番になれるものを探してみてほしいですし、僕もその環境をつくる力になれたらと考えています」(木下選手)

同じ”投げる”でも距離や形などこの日だけでも様々な経験ができた

「多くの競技者が集まって一つの空間でさまざまなスポーツを体験できる空間は新鮮ですし、僕も初めてでした。自分が子どもの時にあればよかったと思いますし、今後も続けていけば子どもたちにとっていろんな可能性が出てくると感じています。

将来に向けては、勝って嬉しい・うまくできなくて悔しいなどの出来事が目の前に現れると思いますが、その一つひとつがが成長の大切な種になります。たくさんの種目に挑戦しながら多くの経験を積んでもらえると僕も嬉しいです」(村上さん)

TOKYO UNITEはこのジャイアンツタウンスタジアムでマルチスポーツアカデミーを開校する。

子どもたちの未来の可能性をスポーツを通じて伸ばし、社会課題解決に向けた挑戦は今シーズンも発展させていく。

(おわり)

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