身体障害者野球日本代表合宿 雨や猛暑の中鍛え上げた3日間 ”もうひとつのWBC”で4度目の世界一へ

「チームワーク」をテーマに連携プレーをメインに

午後からは全員が集まり、いよいよ合宿が始まる。ロッカールームでのミーティングでは山内監督から全体に向けて3日間の流れ、そして大会に向けてナインを鼓舞し練習がスタートした。

主将の松元剛(名古屋ビクトリー)を先頭に、太く大きな掛け声とともに全員走り足を揃えた。

松元は今大会の選手で最年長の49歳。日本代表入りは第二回大会の2010年以来14年ぶりである。

主将の松元剛選手(名古屋ビクトリー)

山内監督は指揮を執ることになり、メンバーを選ぶ際に松元の選出と主将任命は即決していた。

「松元選手は当時から元気いっぱいでハツラツとしたプレーで盛り上げてくれていましたし、その印象が強く残っていました。今回も年齢を感じさせない元気いっぱいのプレーは健在ですし、選手を引っ張ってチームをまとめてくれていると思います」

と指揮官としても頼もしい存在になっている。

山内監督とは選手としても日の丸を共に背負った

ウォーミングアップからキャッチボールまで約30分かけて行い、じっくりと動ける状態に持っていく。この日は朝から雨が降り、気温は28度台と暑さはあるものの少し抑えられたコンディションだった。

最初のメニューは内外野に分かれてのノック。山内監督そして名古屋ビクトリーでは指揮官を務める荻巣守正コーチが打ち込んだ。

本合宿で重点的に行われたのは連携プレー。山内監督はこの合宿の一番のテーマを「チームワーク」に設定した。

国際大会ではミスが勝敗を分けるが、代表チームとなると普段組まない選手と組むため、どうしても阿吽の呼吸が生まれにくくなる。

そのため、練習ではダブルプレーのケースを多く盛り込み、内野陣は2塁への送球を反復した。途中からは投手陣も加わり投内連携、そして外野の個別ノックが終わるとシートノックで全体の連携を深めていった。

ノックではケース別で行い連携を深めた

片手の選手が捕球とともにグラブを舞上げボール持ち替えて送球する「ワンハンドキャッチ・ワンハンドスロー」は身体障害者野球ならではの技術。

片手でプレーする代表選手も素早い送球で正確な動きを見せた。

ワンハンドキャッチ・ワンハンドスロー

雨も途中で止み、続いては打撃練習。さすが日本代表選手。一人一人がしっかりと強い振りを見せ、快音を響かせた。打球は右中間・左中間と外野の間を抜け、投打で主軸が期待される早嶋健太(岡山桃太郎)は両翼100mある球場のフェンスを超えた。

打撃練習ではそれぞれが快音を響かせた

今大会最年少メンバーの24歳で、東日本唯一の日本代表選手である土屋来夢(千葉ドリームスター)は広角に鋭い打球を打ち分け、守っている選手たちからも「ナイスバッティング!」という声が何度も聞かれた。

鋭い打球を各方面に打ち分け好調をアピールした土屋来夢

最後は再びノック。3塁走者を刺すことを想定し、本塁への送球練習で締めた。冒頭の通り半年ぶりに集まったが、個々の選手の動きは軽快そのもの。

山内監督も「選手の皆”JAPAN”の選手らしくいい表情になっていた」と充実感を表した。

5月には全国大会が行われており、代表選手は全員所属チームでこの大会に出場している。以降もチームでの活動に継続的に参加しこの7月を迎えたため、順調な仕上がりを見せた。

2日目は猛暑の中、ダブルヘッダーと練習で特訓

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