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身体障害者野球日本代表・小寺伸吾 世界大会で5年越しの”リベンジ”。大会首位打者で獲得した「長嶋茂雄賞」と伝えたい恩師への想い

初の長嶋茂雄賞を受賞「岩崎さんに伝えたい」

今大会で小寺に新たな勲章が加わった。世界大会で名誉顧問を長く務めている長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督の名を冠した「長嶋茂雄賞」が初めて制定された。

大会首位打者を獲得した選手に贈られる賞で、4試合通じて9打数6安打・打率.667をマークした小寺が受賞した。

「本当に嬉しかったですし、今回はチームに貢献できたという自負があります。名古屋や岡山の選手が何人も賞を獲っていたので神戸コスモスとして、一つ受賞できたのは一矢報いた思いです」

プレセンターの長島三奈さんから直接受け取った

熱のこもった意地と感謝の気持ち、伝えたい人がもう一人いた。15年に小寺がコスモスに入団した時の監督で、19年に他界した岩崎廣司さん(日本身体障害者野球連盟 前理事長)である。

「この賞は岩崎さんが獲らせてくれたものです。ここまで育ててくれたんで。教えてもらったことや思い出はたくさんありますし、今でも打席に立つと、どっかから見とんちゃうかっていう感覚があるんです。なので真っ先に報告したいと思っていました」

岩崎さんは生前、長嶋茂雄さんの大ファンであった。連盟の理事長を務めていた時、長嶋さんサイドに直接連絡し06年第1回世界大会の実行委員長就任を打診。04年に脳梗塞で入院して以来初の要職就任となり、当時メディアでも報道された。

岩崎さんからは、野球に対する姿勢や振る舞いなど技術以外のことをたくさん教わった。身体障害者野球を始めて自身の野球観も変わったという。

「今もそうで勝つためにはやってるんですけど、障害者野球はそれだけではなく必死にプレーしてる姿というのが、たくさんの人に勇気を与えることができると思うんです。僕も入院中、松葉杖で一生懸命やってる姿を見て勇気をもらった身なので、一生懸命やることが未来に繋がっていく感覚が生まれましたし、そこは大事にしたい部分です」

ひたむきな姿勢が見ている方たちに勇気を与える

世界一連覇を経験したが、野球人・小寺伸吾としてはまだまだ発展途上。11月の全国大会でも日本代表同様に、1番打者として打線をけん引した。最後に今後の目標について語っていただいた。

「日本代表の松元さんも50歳でキャプテンをやっていて、コスモスにも、西原賢勇さんが僕と10歳ほど上なのですが、毎週練習に来てもう走りまくっているんですよね。

そういう姿を見てて自分も年齢を重ねてもパフォーマンス高くやりたいし、そのためにはどうしないといけないかを考えながら、一番はその日、プレーでみんなに伝えていきたいです。そして身体障害者野球、神戸コスモスを継続しないといけないと思います」

神戸コスモスで長年活躍している西原賢勇選手

世界大会は3年後に行われる。”世界一のリードオフマン”はまだまだ衰えなどない。ほっともっとフィールド神戸、そして次の日の丸の舞台でも背番号8は躍動を続ける。

(おわり)

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