
【Dリーグ連載 第1回】TAKIの遅刻から始まるSEGA SAMMY LUXの逆襲
スポーツ総合メディア「SPORTSCORE(スポーツコア)」では、世界初のダンスのプロ、Dリーグの記事配信をスタートします。
2020年(令2)に9チームで発足したDリーグは、14チームまで増えて5シーズン目を展開しています。Dリーグファンはもちろん、「まだ見たことがない」という方々も、ぜひご覧ください。
昨年まで日刊スポーツでDリーグを担当していたフリーライターの飯島智則が、密着取材をしていきます。
(取材/文:飯島智則、表紙写真は©D.LEAGUE 24-25 )
メンバーの日常を高速ラップで
「24‐25シーズン」のちょうど半分、ラウンド7ではSEGA SAMMY LUXのリーダーTAKIが、もっとも輝いたダンサーに贈られるMVDを獲得した。EXILEらが所属する芸能事務所LDH所属のTHE JET BOY BANGERZ(TJBB)でも活躍する人気者である。
今回のLUXのテーマは「SPEED STAR」。ファンが知らないメンバーの日常を、高速ラップに乗せて表現するという内容だった。
さて、どんな日常が見られるのか?
期待が高まる登場シーンで、TAKIは枕を持ってステージに上がると、シグネチャームーブを踊ることなく寝てしまった。寝たままで照明が暗くなり、舞台袖に消えてしまった。
先攻Benefit one MONOLIZに続き、LUXのパフォーマンスが始まるも、TAKIの姿が見えない。30秒、40秒、50秒…時間が経ってもエースTAKIは出てこなかった。2分15秒と限られたパフォーマンスでは、間違いなく異例の事態だった。

7人だけで進んだ1分10秒、照明が暗くなると同時にTAKIがようやくステージ中央に走り出た。そこでラップの言葉が入る。
「あれ、TAKI、またいなくねえ?」
「さあせん(すみません)、遅れました」
両手を合わせて謝罪するポーズからエースパフォーマンスで魅せ、ステージを幅広く使ったシンクロパフォーマンスへと展開し、TAKIの土下座を経て、ラップ調はさらにテンポを上げてフィナーレを迎えた。

ジャッジはLUXが5―1で勝利を飾った。マイクを持ったTAKIは、テーマの内情を明かした。
「今回はLUXの日常を早口ラップに乗せてお届けするということで。僕もリハーサルに遅刻してしまったこともあります。この場をお借りしまして…ディレクターのYUGEさん、本当にすみません。
でも、こういった作品で、チームの勝利に結びつけることができてうれしかったですし、個人的にもエースパフォーマンスが取れてうれしいです」
舞台裏での勝利インタビューを終えた後、TAKIに話しかけた。
「本当に遅刻したことがあったんですか?」
彼はファンやメディアに対しても常に礼儀正しい好青年。インタビューで話を聞くときも、じっと質問者の目を見つめてハキハキと答える。遅刻などしそうもないタイプに見えていた。
TAKIは苦笑いして答えた。
「そうなんです。ちょっと前なんですけど…遅刻しちゃって、みんなに迷惑をかけてしまったんです。そんなリアルなところを作品に落とし込めたら楽しいと思ったし、今回こういう勝利に結びついて、よかったです」
LUXは現在12位と下位にいる。R1からR6まで1勝4敗1分と、なかなか結果に結び付かなかった。TAKIにも危機感があったという。
「今シーズンは負けが続いていて、メンバー一同悔しい思いをしていました。チャンピオンシップに向けて、ここからは絶対に勝たなければいけないと思って、いつもと違う作品を届けたいと思っていました」

1分以上、出番がなかった演出はどう感じたか。
「初めて1分以上出てこず、出てきたらエースパフォーマンスというチャレンジをして、会場を沸かせることができました。ここからもLUXらしい、楽しい作品で、LUXの強みでもあるステップを生かしていってチャンピオンシップに出たいと思います」
シーズンもちょっと出遅れたが、ここからの挽回に期待が高まる。
【順位】
❶KADOKAWA DREAMS
❷CyberAgent Legit
❸Valuence INFINITIES
❹SEPTENI RAPTURES
❺LIFULL ALT-RHYTHM
❻dip BATTLES
❼KOSÉ 8ROCKS
❽avex ROYALBRATS
❾List::X
❿DYM MESSENGERS
⓫Medical Conciege I‘moon
⓬SEGA SAMMY LUX
⓭Benefit one MONOLIZ
⓮FULLCAST RAISERZ
◆飯島智則(いいじま・とものり)2025年からフリーのスポーツライター、大学教員の二刀流で活動を始めた。1993年に日刊スポーツ新聞社に入社し、主にプロ野球担当として横浜(現DeNA)巨人などを担当。
2003年からは松井秀喜選手と共に渡米して大リーグを、帰国後は球界再編後の制度改革などを取材した。近年はDリーグに力を入れている。
著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「横浜大洋ホエールズ マリンブルーの記憶」「メンタルに起因する運動障害 イップスの乗り越え方」(企画構成)。ベースボールマガジンでコラム「魂の野球活字学」を連載中。