
Legit アナログ採点を制して連覇へ好発進 ルール変更への対応も「醍醐味」
第一生命 D.LEAGUE25-26 REGULAR SEASON ROUND.1 開幕戦BLOCK HYPE」が10月25日、東京・江東区のTOYOTA ARENA TOKYOで行われた。2ブロック制、新会場、新ジャッジ方式が採用された新シーズンは、アクシデントから始まった。(取材/記事:飯島智則、表紙写真はⒸD.LEAGUE25-26)
アプリに不具合
いきなりのハプニングだった。
新シーズンの開幕戦。1stマッチのCyberAgent LegitとList::Xのパフォーマンスが終わったが、獲得割合(%)で競う新しいジャッジが始まらない。
アクセス集中により、公式アプリが開かない、ジャッジ投票ができないなどの不具合が発生していた。とはいえ、新方式において会場ジャッジは全体の25%を占める重要項目とあり、これを抜きに勝敗はつけられない。
MCのケリー隆介が、観客に緊急措置を説明した。
「本日の会場ジャッジは、アナログ形式を採用させていただきます」
入場時に配布されたパンフレット内に、赤いページ、青いページがそれぞれ入っており、観客は評価したチームの入場コーナーの色を掲げる。スタッフがそれをカウンターを使って手作業で数えるという超アナログ方式だった。
新しい2チームを加えて2ブロック制が採用され、会場がTOYOTA ARENA TOKYOに移り、新ジャッジ方式も採用するという革新のシーズンゆえのアクシデント。当然ながらジャッジまでに時間がかかり、会場の緊張感が緩んでしまったところ、Dリーガーたちがトークで盛り上げていた。
手作業による集計を終え、発表されたジャッジはLegitが68.8%を獲得して勝利を手にした。

LegitのリーダーTAKUMIは、ラウンド後のインタビューで対戦を振り返った。
「今回のテーマはDeparture、出発という意味です。昨シーズン優勝させていただき、新しいシーズンを心機一転、僕らのチームの出発点になるようにという意味合いを込めてつくりました」
そう言った後で付け加えた。
「初戦、一番大事な試合を取れて安心しました」
TAKUMIは、その後も再び「一番大事な初戦」という言葉を使った。王者として迎える新シーズン。初戦にどのような意味が込められていたのだろうか?
「昨年の良かった流れは記憶にあるんですけど、色んなことが変わった新シーズンの初戦で負けてしまうと、『ああ、やっぱり違うのかな』と、流れが変わってしまう可能性があると思いました。これまでも僕らは戦っていく中で初戦というのを大事にしてきました」

変更されたジャッジ方式についてはどうだろうか?
「パーセンテージという、すごく新しい方法だと感じますし、まだプレーヤー自身も慣れていないというのはありますが、その年のルールに対応していくのもリーグの醍醐味だと思うし、どんなルールになったとしても勝ち続けられるチーム作りをしたいと思います」
ステージ上でのパフォーマンスはもちろん、TAKUMIの言葉を聞いていると、今シーズンもLegitは強いと確信できる。

◆新ジャッジ 各マッチの勝敗の決め方が「獲得項目数」から「獲得割合」に変更された。テクニック(12.5%)コレオグラフィー(12.5%)シンクロパフォーマンス(12.5%)エースパフォーマンス(12.5%)会場ジャッジ(25%)配信ジャッジ(25%)の審査項目を通じて、合計100%のうち、より多くのシェア率を獲得したチームが勝利する。昨シーズンまでのSWEEP勝利はなくなる。
◆飯島智則(いいじま・とものり)2025年から大学教員、フリーのスポーツライターの二刀流で活動。1993年に日刊スポーツ新聞社に入社し、主にプロ野球担当として横浜(現DeNA)巨人などを担当。2003年からは松井秀喜選手と共に渡米して大リーグを、帰国後は球界再編後の制度改革などを取材した。近年はDリーグに力を入れている。
著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る!」「横浜大洋ホエールズ マリンブルーの記憶」「メンタルに起因する運動障害 イップスの乗り越え方」(企画構成)。ベースボールマガジンでコラム「魂の野球活字学」を連載中。