【Dリーグ連載 第４回】dip BATTLES 希望を「繋」いだ5戦ぶり勝利 新メンバー５人の編成が奏功
ダンスのプロ、Dリーグではラウンド９が行われ、dip BATTLES が「繋」をテーマとしたパフォーマンスで４戦ぶり勝利を手にした。ラウンド４で首位に立つも、以後の４戦で白星がなく9位まで急降下。今回の勝利で、チャンピオンシップへの希望が「繋」がった。（取材／記事：飯島智則、表紙写真はⒸD.LEAGUE24-25）
エースSHOの語りに涙が…
エースパフォーマンスを担ったSHOの「78秒」も大きな見せ場だった。
4-2でSEPTINI RAPTURESに勝利を飾った後、ステージ上でマイクを握り、今ラウンドに臨んだ思いを語った。SHOのコメントを聞きながら、メンバーたちの目に涙が浮かんでいく。
ラウンド4の首位から白星に見放され、9位まで急降下。悩み、苦しみ、その中で答えを見つけ出してたどり着いたラウンド9だった。
SHOの言葉には、チームに関わる全ての人の思いが込められていた。
「あ～よかった～。怖かった～。
まずは今回もSPダンサーとして力を貸してくれたTaichi、本当にありがとうございました。先ほど紹介あったように、ほぼメンバーみたいなもので、dipのハウス（ダンス）には欠かせない存在となっています。
今回、もうチームとしては後がない状況と思っていて、それにハウスとしても勝てていなくて、どうやったら自分たちがいいと思っているものが、このステージ上で評価されるのか。ゼロから、みんなで色んな意見を出し合って、みんなで心を込めてつくった大好きな作品になりました。
えーと、ちょっと語弊があるかもしれないけど、エースを取れずに悔しいけど、そんなことはどうでもよくて、マジで勝ててうれしいです。
自分たちはディレクター（KENSEI）を含めて平均年齢20歳と、めちゃめちゃ若いチームなのですが、若さを武器に、死ぬほど練習しまくって、死ぬほど考えまくって、お世話になってきた人達に少しでも恩を返していけるように、これからも頑張ってまいりますので、これからも応援よろしくお願いします」
他のプロ競技も含め、インタビュアーの質問もなく、自らここまで思いを語れるアスリートは少ないだろう。
パフォーマンスは、明暗を絶妙に使い分けた照明を含め、ステージングも光った。３人かと思えば、5人、そして8人がステージ全体に広がっていく。冒頭のシンクロパフォーマンスでは見事な足さばきで、dip BATTLES ならではのハウスダンスを展開した。今回のテーマである「繋」の通り、次々に展開されるパフォーマンスから目が離せなかった。
テーマには「初心にかえって、メンバー一丸となって手を取り合い、勝利を目指す」という思いも込められていたのだという。
開幕からのスタートダッシュに成功したが、中盤戦は苦しんでいた。開幕からの成績を振り返ってみよう。
【Ｒ1＝6位】〇4－2 SEGA SAMMY LUX
【Ｒ2＝3位】〇5－1 LIFULL ALT-RHYTHM
【Ｒ3＝2位】△3－3 KOSÉ 8ROCKS
【Ｒ4＝1位】〇5－1 Benefit one MONOLIZ
【Ｒ5＝3位】●1－5 Valuence INFINITIES
【Ｒ6＝5位】●2－4 avex ROYALBRATS
【Ｒ7＝6位】△3－3 Medical Conciege I‘moon
【Ｒ8＝9位】●2－4 CyberAgent Legit
今回はCoyuki、賢親、TsUmU、HOKUTO、Kouuuuuと、今シーズンからの新メンバーを5人起用する布陣で臨んだ。
ディレクターKENSEIは昨シーズン終盤に「自分がやらなければという思いが強すぎたが、もっと仲間に任せればいいんだと思うようになった」と語っていた。思いを、アイデアを、パフォーマンスをメンバーに「繋」ぎ、7位と順位を上げた。チャンピオンシップへの希望も「繋」がった。
【順位】
❶CyberAgent Legit
❷KADOKAWA DREAMS
❸Valuence INFINITIES
❹SEPTENI RAPTURES
❺KOSÉ 8ROCKS
❻Medical Conciege I‘moon
❼dip BATTLES
❽LIFULL ALT-RHYTHM
❾DYM MESSENGERS
❿avex ROYALBRATS
⓫List::X
⓬SEGA SAMMY LUX
⓭Benefit one MONOLIZ
⓮FULLCAST RAISERZ
DリーグR8はこちらから（YouTube公式D.LEAGUE＝無料配信）
◆飯島智則（いいじま・とものり）2025年からフリーのスポーツライター、大学教員の二刀流で活動を始めた。1993年に日刊スポーツ新聞社に入社し、主にプロ野球担当として横浜（現DeNA）巨人などを担当。2003年からは松井秀喜選手と共に渡米して大リーグを、帰国後は球界再編後の制度改革などを取材した。近年はDリーグに力を入れている。
著書「松井秀喜 メジャーにかがやく55番」「イップスは治る！」「横浜大洋ホエールズ マリンブルーの記憶」「メンタルに起因する運動障害 イップスの乗り越え方」（企画構成）。ベースボールマガジンでコラム「魂の野球活字学」を連載中。
