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「ファイターズ・レジェンズ」西崎幸広×田中幸雄 東京時代の歴史を彩った2人が語り継ぐエピソードの数々とは?

昨年末、東京都内で「日本プロ野球OBクラブ ~MEMORY COLLECTION~」が開催された。東京時代のファイターズを支えた投打の柱が笑いありのエピソードトークを展開し、会場を沸かせた。

(写真 / 文:白石怜平)

”東京”ファイターズのレジェンドが挙げたお互いの印象

「 ~MEMORY COLLECTION~」はプロ野球OBクラブが主催する対面型イベント。トークショーに加えてサイン・写真撮影ができる企画が用意され、参加したファンの記憶に残る催しとなっている。

前回は”ミスター・ロッテ”の西村徳文さんと初芝清さんによる今昔物語が披露され、大盛況となっていた。

今回は、”ファイターズ・レジェンズ”と題し、西崎幸広さんと田中幸雄さんというこちらも豪華2名がゲストに登場。後楽園球場そして東京ドームに本拠地を置いていた頃にプレーした現役時代の話題などが披露された。

MCはプロ野球OBクラブの星俊さん、アシスタントは本田そらさんが務めた。

今回はこの4人でイベントを盛り上げた

トークではお互いの印象について。西崎さんは当時あった珍しい出来事を交えながら語った。

「当時投手にも『田中幸雄』さんがいたんです。同姓同名で”コユキ”と言われてたので小柄かと思ったら俺より全然大きかった(笑)。投手の幸雄さんが190cm超えてましたが、『コユキなのに大きいね』から始まりました」

続けてプレーの面で印象を振り返り、投手として遊撃手そして打者としての田中幸雄さんをこう称賛した。

「守備に関しては肩が強いので、三遊間の抜けそうな打球をとったら必ずアウトにしてくれる。あと右中間の打球の時は普通ならセカンドがカットに入るけど、幸雄はショートでも(カットマンとして)入ってサードに投げてくれる。あとバッティングはみなさんご存知の通り2000本打つバッターですから、信頼できる打者でした」

田中幸雄さんのプレーに助けられたと話した

田中さんも、西崎さんに続いてあるシーンを挙げながら印象を述べた。

「西崎さんは投げ方もカッコいいですし、球威・コントロール・キレ。投げること全てに関して一級品でした。私はショートとして一緒にプレーさせてもらいましたが、西崎さんは器用で臨機応変。

内野手は二遊間牽制ありますよね?『グラブ上げてくれたら投げるから』って言ってくれて、本当にサインを出すフリだけ。牽制欲しい時は自分のタイミングでグラブを少し上げたら投げてくれました。全てに関してセンス抜群の投手でしたね」

牽制時に合図だけでコミュニケーションが取れたという

ノーヒットノーラン達成時、ライバルの反応とは?

続いては現役時代におけるエピソードへと移る。その一つに西崎さんが達成した95年7月5日の西武戦で達成したノーヒットノーランについて。当時の裏話が披露された。

4月の同カードでもノーヒットの快投を見せながら8回途中に途絶えたことから、当時のことが頭をよぎったという。ただ、その8回を切り抜けた時に「いけると思った」と確信し、9回に8番からの打順を迎えた。

「問題は1番の佐々木誠。最も嫌な打者でしたから」

佐々木さんとは仲がいいと語り、同じく警戒していた捕手の田村藤夫さんがマウンドに確認に来た時にもこう伝えていた。

「球種は何から入るか聞かれたので、お任せしますと。あとは誠によろしく言っておいてくださいって(笑)」

会場が笑いに包まれると、佐々木さんとの交わした内容も明かしてくれた。

「初球フォークのサインが出て『フォークか!』と思って投げたら引っ掛けてくれた。彼も俺がマウンドで喜んでる時に一塁ベースから『あれでいい?あれでいい?』って(笑)真剣勝負した結果での冗談ですけどもね」

ノーヒットノーラン達成秘話を語った

この試合遊撃を守り、快挙達成に貢献した田中さんも守備での心境を語った。

「もちろん頭によぎりました。実は僕2年目に送球のイップスになってしまって、弱気になるとエラーすると思ったので、『飛んでこい!』とずっと心の中で言っていました」

西崎さんはそれを聞いて、「ノーノーの場合はエラーしてもいいんですよ。パーフェクトの場合はできないけども。幸雄の場合は肩が強かったので、捕ってすぐ投げる時はすごくいいボールが行く。でも余裕があった時は…(笑)」

と余談を交えながらフォローと少しのいじりを加え、さらに会場を盛り上げた。

イップスを強気でカバーした

明かされる大社義規オーナーとの思い出

この後もエピソードトークは続く。昨年ファイターズ誕生50周年を迎えたこともあり、それぞれ思い出に残っているユニフォームや外国人選手、そして監督などの話題が展開された。

会の終盤には質問コーナーが設けられ、東京時代を知るファンから次々に寄せられた。

その一つが大社義規オーナーとの関わりについて。日本ハム創業者でファイターズ初代オーナーである大社さんは、野球を愛し・選手やファンに愛されたオーナーとして今も語り継がれている。

西崎さんは、大社オーナーが観戦に来た時は選手たちが一層気持ちが入っていたことを明かした。

「素晴らしいオーナーでした。野球が本当に好きでよく観に来れられたんですけど、オーナーの席って決まってたんですよ。マウンドからも見えるところで。あとその日は勝てばオーナー賞が出るんです。みんな目の色変えてプレーしましたよ。『代わるぞ』って言われても『いや投げます!』ってね(笑)」

質問コーナーでは手が挙がった全員に答えた

実は田中さんにとっては入団に大きく関係している方であると答えた。

「私の地元は宮崎県都城市なのですが、日本ハムの子会社が実家のすぐ近くにありました。それでオーナーがよく視察に来れられたんです。オーナーの運転手さんが(母校の)都城高校の近くに住まわれていて、オーナーに『田中幸雄って選手がいますよ』と言ってくれたそうなんです。

聞いたオーナーが大沢(啓二)さんに伝えて、大沢さんが高校まで見に来てくれた経緯がありました。これは後から聞いた話なんですけどね。

東京ドームに視察に来られた時もバックネットの一塁側横の席にいらしてて、練習中必ず呼んでくれて『両親元気か!』って声をかけてもらった思い出があります。自分の中では素晴らしいオーナーだったと今でも思っています」

サイン会ではあの企画チケットが本人の前に

その間にじゃんけん大会が行われ、2人のサイン入りグッズの争奪戦が行われるなどさらに熱気も増しつつ、約1時間ほどのトークショーは瞬く間に終了を迎えた。

抽選会では2人のサイン入りグッズも用意された

最後に2人が今後の活動について“逆営業”も交えながら参加者へ伝えて締めた。

「引き続き解説はやらせていただきますし、それ以外でも野球に携わる仕事ができたらと思っています。企業にお勤めの皆様、いつでも講演に呼んでください!幸雄と一緒に行きますので(笑)」(西崎さん)

「僕も解説をさせていただきます。野球をやってきたので、野球が大好きなそしてプロ野球選手を目指す子どもたちに向けて力になれればという想いが強いです。あともう一つ大好きなゴルフの仕事を同じくゴルフ好きな西崎さんと一緒に出られたら嬉しいです(笑)」(田中さん)

そしてサイン会では参加者が現役時代のモデルのユニフォームや当時のファンブックなど思い思いの品を持参し、会話を楽しむ時間となった。

田中さんの二軍監督時代にトレードマークである太い二の腕をモチーフにして発売された、「田中幸雄ファーム監督スゴ腕TICKET」にも自らサインを記した。

西崎さんの”冷たい視線”を浴びながらも笑顔でサインした

さらに西崎さんからもサプライズ。自宅にあったというカードに予めサインをしてプレゼントするサービスも加わった。

今回もファンの記憶にしっかりと刻まれ、野球の歴史がまた繋がっていく時間となった。

(おわり)

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