2021若獅子インタビューVol.11 #47松岡洸希 自ら口にした”己の弱さ”とは?

昨シーズン終了後、「直球だけでは勝負できない」と実感し、変化球の習得に力を入れてきたのは2019ドラフト3位で西武に入団した松岡洸希だ。

「キャッチボールのときから変化球を投げたり、動作解析ソフトを使い回転数や軸などの数字を見ながらブルペン投球に臨みました」と自ら勉強を重ねながらの春季キャンプとなった。

良い感覚のままキャンプを終えて挑んだ対巨人(2月27日ジャイアンツ球場)の練習試合だったが、打者6人に対し、2安打1本塁打2四球自責点5という結果に、もう一度フォームの見直しに取り組むことにした。

杉山二軍投手コーチとフォームの見直しをしていくなかで、持ち球の直球とスライダーに加えてフォークを取り入れることになった。フォークを投げ切ることで感じたのは、投球時の身体のバランスの良さ。さらに「投球動作の中で(敢えて)考える時間をなくすため」ワインドアップをやめてノーワインドアップに変更。

「投球動作の中で考える時間をなくし、一方で球種が1つ増えたことで投球の幅が広がりました。自分としては良い状態で開幕を迎えられました」とひとつレベルアップできたことに頷いた。

開幕時点では今季の目標を、「直球のアベレージが147キロ以上」、「防御率は2点以内」、「変化球と直球のストライク率が50%以上」、「前半戦が終わるまでに1軍昇格」、と掲げたが、ここまでは決して満足のいく内容ではない。

己に勝ち、再び1軍の舞台を目指す

いい感覚を掴むものの、それを自分のものにできないジレンマが松岡を悩ませる。5月5日に一軍昇格。6月1日の巨人戦では1回を3人で抑えるなど好投を見せたが、6月4日の東京ヤクルト戦では、降りしきる雨にも苦しめられ打者2人に対して2与四球。7日には二軍降格を告げられた。

降格しても、何ごともないように続く一軍の試合を画面越しに見て、込み上げてくるのはチームに貢献できなかった悔しさ。

「いま同級生の渡邉勇太朗がいいところで登板しているのを見て、自分ももっと貢献できたのではないかと感じる部分はありますし、試合の入りから自分の球を投げていればまだ一軍に居られたと思います」と唇を噛んだ。

1軍帯同中は豊田投手コーチからも課題をもらい、改めて気づかされた部分もあったという。「戦う気持ちが見えない、四球を出すと自分の投球ができなくなる、と言われました」と本インタビューの中で松岡は、“己の弱さ”を口に出して自らを戒めた。

プロ2年目。ルーキーイヤーに続き、再び昇格を遂げた松岡だが、まだ自身の技術、そして気持ちでは、打ち返されてしまうことを容赦なく突き付けられた一軍生活の一カ月間だった。シーズンも前半戦は残り僅か。

自分の弱点を痛感した松岡は、持ち前の直球で一軍の並み居る打者を打ち取るために、己と戦いながらあがく日々だ。(写真は球団提供)

西武ライオンズ広報部

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