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「俺たちはやったんや!」元オリックス・小川博文さん ”がんばろうKOBE”の下、「神戸の皆さんと一緒に戦った」リーグ連覇と日本一

第4戦、1点差の9回に起死回生の一発

そして、日本シリーズは野村克也監督率いるヤクルトスワローズ。ID野球を掲げ、前年までの5年で2度のリーグ優勝、93年には常勝西武を破っての日本一にも輝くなど黄金時代真っ只中だった。

このシリーズで最も話題となったのはイチロー選手への攻め方についてだった。

「当時の看板選手イチロー。野村(克也)監督からイチローを内角で攻めるっていうことで苦戦を強いられたんですよね。結局全然内角は突いて来なかったんですけどもね。巧みな心理作戦に揺さぶられましたよ。僕らは初めての日本シリーズ出場ですから、どうしても経験値が少なかったのかなと今振り返って思います」

3連敗し、王手をかけられた神宮での第4戦。0−1で最終回を迎え、まさに土壇場となった9回表。神宮球場の雰囲気がさらに異様となっていた中、先頭打者として小川さんが打席に立った。

1ボールからの2球目を振り抜いた打球は打った瞬間それと分かる同点本塁打だった。小川さんは悠々と走り、着弾が分かると右手を突き上げた。

「もう後がない状況だったけれども、やっぱりもう一度神戸で戦いたいというのがあったんですよ。意地を見せたと言いますか、無心で打席に入りましたよね。しかも相手は(先発の)川崎憲次郎投手ですよ。

今でも言われますよ憲次郎に。『小川さんがあそこで打っちゃったから僕の勝ち投手がなくなりました(笑)』って。打球がレフトに行って手ごたえも充分だったのですが、盛り上がりがすごくて実はどこにボールが落ちたのか全然わからなかったんです」

95年のシリーズ第4戦、伝説を”演出”した

文字通り起死回生となった一発。この本塁打はもうひとつのドラマを生み出した。延長11回裏の「小林宏(現:二軍監督)ーオマリーの14球」。このシーンは、瞬間最高視聴率55.9%を記録するなど今も語り草になっている。

「あの14球の中でホームラン性の当たりがライトポール際にあったと思います。小林も力入っていましたし、何とか抑えるんだという気持ちで投げていた姿をショートから見ていて伝わってきましたよ。今も皆さん振り返って感動していただけるのは選手冥利に尽きると思います」

この試合で一矢報いるも、第5戦で力尽き日本一へは届かなかった。その悔しさは今でも鮮明に覚えている。

「日本一になりたかった。野村監督が胴上げをされているシーン、あの光景は目に焼き付いていますよ。負けた悔しさよりも、『来年は俺たちがやってやる』という雰囲気でした。地元でリーグ優勝もできなかったので、来年神戸で優勝する、神戸で仰木監督を胴上げする。その一心でした」

96年、神戸で決めた連覇と日本一

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