
王貞治氏・栗山英樹氏らが「球心会」設立を発表 “BEYOND OH!PROJECT”のもと、「世界的ヒーローが生まれ続ける未来」を創る
6月26日、都内で「一般財団法人 球心会」の設立記者会見が行われた。
会見には同法人の王貞治代表・栗山英樹副代表らが出席。野球界から新たな未来を創るべく、それぞれの持つ熱き想いが語られた。
(写真 / 文:白石怜平)
王貞治代表「野球に対する想いは強くなっている」
「球心会」とは、通算868本塁打を記録した“世界のホームラン王”・王貞治選手、そして昨年MLBで前人未到の50本塁打・50盗塁の“50−50”も達成した二刀流・大谷翔平選手をも超える『世界的なヒーロー』を日本のスポーツ界全体で生み出すことを目指し誕生した。
実現のために、野球界の想いを一つにしていく。
昨年11月20日のプロ野球オーナー会議後に球心会設立の方針発表をして以降、プロアマ野球の各団体そして女子野球やソフトボール団体などと連携を深めてきた。

団体個別の活動では解決しきれない「マクロ課題への対策アクション」に向けた検討から推進、そして財源確保に向けた機能を球心会が担う。
その発起人でもあるのが王代表。冒頭の挨拶で自身が抱く野球への想い、そして球心会設立の背景を語った。
「私は選手としてプレーしましたけれども、野球に対する想いは年々その想いが強くなっていると、そう感じています。
同時にそうであるがゆえに、『今の野球界このままでいいのか』という気持ちもありまして、野球界にはしっかりとした組織がたくさんありますから、
この(野球界の想いを一つにする)スタートを切れたら、もっと野球界のためになれると思いました。
我々としてその役に立てる仕事ができるのではないかということで、この球心会を設立することにいたしました」

王代表は自身の役割について以下のような考えを明かした。
「特に今の時代は情報の時代です。私は球心会を代表して、どんどん皆さんに情報を提供するという役割を担います。
各組織がみなさん頑張っていただいていますので、私は全国にその情報を発信し、そのためにこの球心会があると思っています。
全国津々浦々に野球チームがありますので、全てに情報が伝わるようにしたい考えです」

続いて栗山副代表。前週に「中学球児応援プロジェクト」のアンバサダーに就任し、中学野球を活性化させるミッションを託されていた。
その際も「野球界が力を合わせて応援しよう!というプロジェクトです」と語っており、まさに各団体が想いを一つにする推進役として球心会でも大役も担うこととなった。
「各団体、プロ・アマの皆さんが日々頑張ってくださっています。王さんが言われているのは『そういった方々をみんなでお手伝いをして、野球を通じて子どもたちのためにやるんだ』と。
ですのでそういったものを形にするため、そして子どもたちのためにみんなで協力すれば大きな力になる。
次の世代に向けてみんなで手を取って頑張ろうと、僕もその想いでお手伝いしていこうと思います」

子どもたちと保護者が野球に触れられる仕組み作りから
王代表は上述の中で「これからスピードアップをして、会の中身も充実した形にしたいです」とも語っており、今後「マクロ課題への対策アクション」に沿ってさまざま施策が展開される。
これらは「BEYOND OH!PROJECT」と命名し、「1機会の創出: 野球の裾野を広げる」「2熱作り: 潜在的な野球への熱意を高める」「3市場拡大: 野球市場の縮小懸念に対応する」「4体制・財源の整備: 上記を実現するための基盤を整える」の4つの柱が示された。

そのスタートとしてまず行われるのが1の機会づくり。幼少期の全ての子どもたちに“野球に触れられる機会”を創出する取り組み「BEYOND OH!PLAY KIDS」が開催される予定。
全国の多くの子どもたちが幼少期に野球に出会い、生涯長きにわたって野球を“ 観る・する・支える ” 存在になってくれる想いを込め、野球との触れ合いの「機会」がつくられる。
加えて発表されたもうひとつの施策が、「BEYOND OH!PLATFORM」。幼少期の保護者の方々にとっての“野球の困りごと”を解決するため、情報伝達や発信における仕組みが構築される。(※いずれも時期などは調整中)

王代表は保護者の方たちに野球の楽しさを知ってもらうことが、子どもたちが野球と出会う重要なポイントと考えている。会見の中でも、以下のように述べている。
「私は子どもさんだけと考えず、特にお母さんを引き込みたいと思っています。
お母さんが子どもと一緒に野球をやってみて、『野球って面白いね』・『私でもちゃんとバットに当たってボールが飛んだ』という印象を持ってもらえれば『あなたもやってみな』となるでしょうし、ご主人にも『一緒にキャッチボールをやりな』などと言ってくれるお母さんも出てくるでしょうから。
(親子で)体験してもらうことが大事だと思うので、そういう機会を作りたいです」

長嶋茂雄氏から受け取った手紙
球心会が創り上げる世界観のひとつである、「世界を沸かし、子どもたちに夢と希望を与える世界的ヒーローが生まれ続ける未来」。
そのために、会見では2人からのビデオメッセージが共有された。一人が元サッカー日本代表監督などを歴任した岡田武史氏。岡田氏は球心会の評議員でもあり、スポーツ界全体を見据えた活動を支援する。
そして日米通算507本塁打を記録し、09年ワールドシリーズMVPにも輝いた松井秀喜氏からもエールが贈られた。

そして、日本における“絶対的ヒーロー”の存在も王代表たちの想いをさらに熱くさせた。そのヒーローとは、長嶋茂雄氏である。
6月3日に逝去された“ミスター・プロ野球”。王代表とともに、野球を国民的スポーツへと押し上げた最大の立役者の訃報は日本中を悲しみに包んだ。
それと同時に、王代表はこのように決意を固めていた。
「王貞治は、野球のためにやることがある。長嶋茂雄さんが亡くなった今、改めて心に誓いました。
全国の野球少年が長嶋さんに憧れ、懸命に白球を追ったように、子どもたちの目標となる国民的ヒーローが生まれるような社会にしなければならない。(中略)今がまさにその時なのだと思いました」
栗山副代表が、長嶋氏から生前いただいたという手紙をここで読み上げた。

それは時代を築いた“ON”の絆が固く結ばれていることが一目で伝わる内容だった。(以下、全文)
王貞治様
王さん、野球界の更なる発展を目指した「球心会」の結成、おめでとうございます。
アマチュア、プロの垣根を越え、王さん自らグラウンドに飛び出されることを聞き、私にできることがあれば大いに協力したいと考えています。
野球界がひとつとなり、これから更に野球人気が高まることを期待しています。
令和7年5月吉日
長嶋茂雄
「僕らが形を示しますから」実現へ描く理想
質疑応答でも、改めて球心会への意気込みや今後の活動についてなどさまざま寄せられた。
昨今の課題として挙がっている野球人口の減少。原因は遊びにおける環境や気候などさまざま挙げられる。その中で、特に大きな原因として出てくるワードが“少子化”である。
しかし、これについて王代表は球心会としてできることを考えたいと、力強く述べている。
「いろいろと話を聞く『少子化だから』という言葉が出ちゃうんだけど、『少子化だからこそ』やらなければいけないと私は思うんです。
公園でキャッチボールができないなどありますが、そこで辞めちゃったら何もならないですよね。そこでどういう方法があるだろうかとまず考えなければいけない。
学校や県、市の皆さんと話し合ってみたら、光が見えてくると思うんですよね。
球心会としてみなさんにドアをノックしてね。こちらの話を持ちながら、皆さんの考えを引き出したいと思います」

本格スタートを切ることになり、これからについては「まずはやってみること」であると語った王代表。今年に入り、子どもたちに向けたアクションを行っていた。
「今年に入ってから公認野球指導者基礎資格(U-12・U-15)を取ったのですが、すごく自分にとって勉強になったんですよ。教える立場として理解しておかなければならないなと。
日本中で野球を教えていただいている方、たくさんいると思うんですよね。でも、その人たちの中で資格を持っている人ばかりじゃないと思います。
そういう方たちにもより意識を高く持ってもらうために、同じ資格を持って一緒に組んで野球を子供たちと一緒にやりたいなという想いがあるんですよ」

そして、球心会を通じて描く理想があるという王代表。それを現実にしていくことを改めて述べ、会見を力強く締めた。
「私が理想としているのは、資金を集めて野球場を造ることです。子どもたちが遊びで活用するなど、とにかく動ける場所をね、もっともっとつくりたい。
『最初立ち上げの時に言ってたけども、前に進んでいるんだな』というのを示したいんですよ。こういう話は尻すぼみになってしまうことが多いのですが、僕らが形を示しますから」
いよいよスタートを切った球心会。これから野球界の想いを一つにし、革新的な未来を創る挑戦が始まった。
