川崎フロンターレ 地域に愛され続ける企画の源とは?「ユーモアのあるクラブであり続ける」ために
18年のハロウィンイベント成功が大きな自信に
フロンターレの企画では、現場とスタッフの間に固い信頼関係が築かれているからこそ実現できているものが多く存在する。
2018年から行われているハロウィンイベントがその一例である。若松さんも自身のターニングポイントだったというこの企画。当時のエピソードを紹介してくれた。
「選手が仮装をするという企画で、(選手)全員に協力いただいたんです。(中村)憲剛さん曰く『1つの企画としては選手全員出るのは初めてなんじゃないかな』と。10月の間ホームの試合が空いたので、毎日SNSで発信することでサポーターの皆さんにフロンターレのことを少しでも考える時間を持っていただけたらという想いで行いました」
衣装もメイクもプロのスタイリストを入れるなど、本格的に着手。SNS上でも大きな話題となった。若松さんは中村憲剛選手(当時)の言葉に勇気づけられたという。
「この企画には当初、賛否両論ありました。でも憲剛さんと会ったとき、『これはやって正解だったよ』と言っていただいて、自分の企画を肯定してくれたんです。
選手のみなさん全員で協力してくれたことで、サッカーに馴染みが薄い方たちにも『フロンターレはみんなで盛り上げてくれる』ことを証明できました。自分の企画したイベントに対して自信にもなりましたし、一つ成長できた機会でした」
「フロンターレを通じてサッカーの楽しさを知る」抱く使命感
集客プロモーショングループでは、開催するイベントは年間欠かさず継続することで「すべての年齢層に当てはまる」ことを考え取り組んでいる。
夏休み期間には子どもたち向けにカブトムシ採取を、ある時は地元の相撲部屋「中川部屋」とコラボレーションするなど、老若男女問わず楽しめる内容になっている。
鉄道会社とのコラボ企画では、ファンの繋がりに驚いた話を披露してくれた。
「東急電鉄さんと一緒にやった時、実際の車両を等々力競技場に運びました。夜中の2時に集合したのですが、100人ぐらい競技場に鉄道ファンの方たちがいたんですよ!一切告知していないのに何故か知っていてそのネットワークはすごいなと。夜中なのでシャッター音だけがただただ聞こえてきましたね。もう眠気吹っ飛びましたよ(笑)」
異業種や他のスポーツとの交流を深めることで、そのファンも競技場へ足を運びたくなる工夫が凝らしている。そこにはプロモーショングループとしての使命と自覚がある。
「サッカーを知らない方々にフロンターレを通じてサッカーの楽しさを知ってほしい。そのきっかけをつくることも僕たちの使命だと考えています」