疲労回復の専門家が解説する睡眠と疲労のメカニズム「休養にも意識を向けて過ごしてほしい」

副交感神経を優位にさせ疲労回復を促す「リカバリー理論」

福田さんは自身の活動を通じて、副交感神経を優位にさせることが疲労回復につながる「リカバリー理論」を展開している。スポーツ選手を中心にこの理論を用い、10年以上にわたり疲労回復の指導を行なってきた。

福田さんはアスリートの場合は1日8時間、それ以外の方は7時間が目安としている。ただ、同じ7時間でも疲労が残るのとそうでないので差は出てくる。両者の違いについて尋ねた。

「同じ睡眠時間でも中身で差が出てきます。睡眠はノンレム睡眠を4〜5回繰り返して朝を迎えます。ノンレム睡眠とは脳も体も休めている状態のことです。(レム睡眠は脳は動いていて体が休んでいる状態)

ノンレム睡眠には1〜4までレベルがあって、高いほど深い状態とされています。同じ睡眠時間が7時間でも疲労が残っている方はレベル2、質のいい睡眠が取れている人はレベル4ということです」

睡眠段階と時間のグラフ(同社提供)

ヒトが睡眠している間に、成長ホルモンが出て免疫力が上がるとされている。福田さんはこれについては上記の考え方を踏まえ、大事にしていることがある。

「実際免疫力は上がります。ただ、レベル4まで行かないと成長ホルモンは出ません。あと私が大事にしているのは、副交感神経を優位にしてレベル4まで上げることです」

大事なのは「可視化すること」

ここまで、睡眠の深さと疲労の関係について解説いただいた。では、より質の良い睡眠とするには何が必要かを伺った。

「大事なのは記録に残し可視化することです。就寝の3時間前には食事を済ませ、入浴は1時間半前に38度〜40度のお湯に10分ほど浸かると副交感神経が優位になります。42度以上だと交感神経が優位になってしまので、時間と温度のバランスが大事になってきます。

寝る1時間前にはブルーライトを目に入れないようにしてください。交感神経が優位になるため、メラトニンが抑えられてしまいます」

最後、総括として疲れが残る影響そして意識してほしいことについて福田さんはこう呼びかけた。

「疲れを残してしまうと、脳を酷使している状態が続くことになります。仕事をされている方ですと、ただ業務をこなすだけで次の提案といった発想にまでつながらないです。

休養というのは教わる機会は少ないと思いますので、ぜひ”休養”にも意識を向けて過ごしてほしいと思います」

と体を休める意識を高めることを改めて呼びかけた。

(取材 / 文:白石怜平)

関連記事一覧