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「言葉の力というのはとても大きいです」オリックス・バファローズジュニア 小川博文監督 自身の考える指導法と子どもたちへ贈った言葉

”野球の恐さ”を感じた昨年の大会

昨年ジュニアチームで指揮を執る1年目だった小川監督。長く野球界に身を置いているが、「去年、こんな恐ろしいことが起きて…」と、改めて野球の恐さを味わった話がある。

昨年の12月28日に行われたトーナメント初日、バファローズジュニアは横浜DeNAベイスターズジュニアと初戦を戦った。ベイスターズジュニアの監督は秦裕二氏、コーチは松井飛雄馬氏が務めており、小川監督がベイスターズで選手、コーチとして在籍していた時に関わっていた2人との対戦でもあった。

3回までで6得点と試合の主導権を握り6−2で迎えた最終回、「2アウトランナーなし。ここからだったんです」と語り、ここで予想だにしないことが起きた。

「フォアボールとヒットで1・2塁。次の打者にライト前を打たれたんですが、機転を効かせてライトゴロを狙って1塁へ投げたんです。ファーストも一生懸命体を伸ばしたんですが、足が離れてしまいセーフ。ここでノーアウト満塁ですよ…」

会場は横浜スタジアム。地元のチームで他チーム以上にたくさんの応援がいた”完全アウェー”の状態。流れは完全に相手へと行っていた。

「ここでまさかの満塁ホームランで同点。もう会場は大盛り上がりですよ。同点に追いつかれて次の回に延長タイブレークでサヨナラ負け。こんなことが起きるんやなと。改めて勝負の恐さ、野球の恐さを思い知りましたね」

試合後は選手たちみんなが涙した。その時に小川監督はある言葉を伝えた。

”一球を疎かにする者は一球に泣く”

「高校時代(拓大紅陵)の恩師で、私たちを甲子園へと導いてくれた小枝守監督からいただいた言葉です。もちろん選手たちは決して疎かにはしていないですが、これからの野球人生を送るにおいて頭の片隅にでも置いておいてほしいなと思い、子どもたちに伝えました」

これまで10年以上の間、指導者としてプロそして子どもたちといった多くの選手と向き合ってきた。自身が伝える1つ1つの発言が今後の選手の人生を左右する。その重みを理解した上でのメッセージであった。

子どもたちの未来に向けた”言葉”を贈った

「私は言葉の力ってとても大きいと思っているんです。何かあった時に思い出して技術の向上、さらには今後の人生に繋げて行ってほしい。そう思っています」

6年生の選手はこの悔しさを胸に小学校を卒業し、今は中学校でボーイズ・シニアなどそれぞれの舞台で鍛錬を積んでいる。小川監督もこの経験は今後に活きると、卒業した今も期待を寄せている。

「負けた経験からも学ぶことができます。ジュニアトーナメントがゴールではないですし、先に繋げるためにはあの経験を踏まえて次に自分が何をすべきかと学んだと思います。今後彼らはたくましくなっていきますよ」

次ページ:始まる大会に向けて「守りから流れを作っていきたい」

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