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「第30回全国身体障害者野球大会」決勝戦は昨秋以来の”力投再戦” 両軍エースによる投げ合いの末、名古屋ビクトリーが大会連覇

「連覇は意識せず、目の前の試合をとにかく勝つ」

試合後、今大会のMVPに輝いた藤川と荻巣守正監督に話を伺った。両者とも連覇についての意識は「全くなかったです」と即答し、そして「この試合にとにかく勝つ」と声を揃えて語っていた。

「小学3年から野球を始めてから、一番幸せだと感じています。両親や家族・チームに関わるみんながいてくれたからこそ獲れた賞だと思っています」

まず藤川は仲間たちへの感謝の気持ちを最初に述べた。また、昨年の選手権で早嶋と投げ合い惜しくも敗れたことは悔しさの記憶として残っていた。

「早嶋君については、正直意識していました。昨年投手戦で負けたので『絶対に勝たないといけない』と。この試合・今日とにかく勝つ。そのつもりで試合に臨みました」

MVPのトロフィーを掲げる藤川

荻巣監督は、最後まで手に汗握る試合を終え「疲れましたね(笑)」と安堵の表情で第一声を吐き出した。実は高校の後輩だという藤川投手の好投を労いつつ、昨秋から取り組んできたことについて話した。

「岡山さんにリベンジができたのは大きいです。(昨秋選手権で0−1だった結果を踏まえ)練習からどんどん打たせました。試合では『三振してもいいから振って来い』と。あとは自分たちの野球をするだけでした」

夏の地方大会、勝ち抜けば秋の選手権が控えている。チームとしては春の選抜連覇に加え、秋も制覇すれば年間総合で優勝を狙える唯一のチームである。それぞれ今後について意気込みを語った。

「脚の状態や気候・環境など日々コンディションが変わるので、”今と変わらずに”ではいけないと思っています。常に進化を求めて工夫して練習に励み、夏以降の大会にベストの状態で臨んでいきます」(藤川投手)

「勝負事は勝たないといけない。負けたら何も意味はないので、とにかく秋の選手権も優勝して年間優勝を獲りに行きたいです」(荻巣監督)

表彰式で優勝旗を受け取った名古屋ナイン(提供:NPO法人 日本身体障害者野球連盟)

昨年の復活開催に続き、今年は前々の目標の通り全16チームで完遂した。

「新型コロナウイルス感染症の影響により出場できないチーム、また決定後もやむを得ず交替となったチームもありましたが、3年ぶりに16チームがほっともっとフィールド神戸に集い、無事に大会が開催出来たことを嬉しく思います。ご協力いただいた関係者の皆様、選手の皆様、応援サポーターの皆様に感謝しています」

山内啓一郎 連盟理事長は安堵を交えてこう述べた。

今年に入りコロナ禍で活動を中断していたチームも再開した動きもあり、徐々に以前の様子が戻ろうとしている。今年の開催予定から延期した「世界身体障害者野球大会」もこのまま順調に行けば、来年にも行われる見込みである。

ただ、まだコロナ禍が完全に終息したわけではない。山内理事長は今後に向けて早くも気を引き締め直した。

「引き続き感染対策を行いながら、障害者が安心して野球を楽しめる大会にしていきたいです。また来年度の世界大会の開催も見据えて、障害者野球をますます盛り上げていけるよう頑張ります」

各地で動きを取り戻しつつある身体障害者野球は、今後”リスタート”を切りさらに活気付けていく。

(おわり)

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