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「第30回全国身体障害者野球大会」決勝戦は昨秋以来の”力投再戦” 両軍エースによる投げ合いの末、名古屋ビクトリーが大会連覇

藤川は左足が義足のサウスポーで、20歳の時に事故で左の膝から下を失った。18年に名古屋へ入団し、軸足が義足でも体重を残して投げられるよう猛練習を積み、チームでは”二刀流”として打撃でも中軸を打つ。

早嶋は左手首から先がない先天性の障害を持っており、中学時代から健常者のチームで野球を続けてきた。

16年に岡山へ入団後はエースとしてマウンドを守り、”もうひとつのWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)”と呼ばれる「世界身体障害者野球大会」では18年の第4回大会で日本を世界一に導くなど、日本代表のエースでもある。

試合は、3回までお互いに無安打ながら守備の乱れを突くなど名古屋が2−1とリード。その後も両先発が互いに無安打投球を続け、5回まで両軍0を刻む接戦となった。

両先発(写真上:藤川、同下:早嶋)が最終回まで無安打投球を見せた

試合が動いたのは6回表。本大会規定で7回もしくは試合時間100分で終了となるため、後者の適用でこの回が最終回となる。

この回先頭の1番・松田が放った右翼線への飛球が落下点に入った右翼手のグラブをすり抜けた。後方に転々とする中、打者代走(※)の飼沼が快速を飛ばし3塁へ。1死後、岡山は3・4番を連続敬遠で満塁策を取った。

(※)主に下肢障害の選手に適用される制度で、打者の代わりに打者走者として走る選手のこと。

そして5番はここまで力投を続ける藤川。打席では右で打つ藤川は、打率もチームトップクラスでクリーンアップを任されている。

ここでは外角球を右方向へ流し打ち二塁手を強襲、両チーム通じて初安打となった。走者2人が還り2点を追加し4−1と試合の主導権を握った。

名古屋が試合の主導権を握った(提供:NPO法人 日本身体障害者野球連盟)

裏の攻撃で岡山は1点を返し2死3塁と追いあげるも、最後の打者が三振に倒れゲームセット。名古屋が選抜大会2連覇を達成した。

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