“義足の野球人”石井修 ハンデを乗り越えた挑戦の記録「障がいを持っていても野球はできる」

障がい者野球の体験会で母校を訪問

ドリームスターは障がい者野球の魅力を伝えるため、グラウンド外の活動も積極的に行っている。(※今シーズンは新型コロナウイルスの影響で開催なし)

石井もチームの方針に賛同し、2018年10月には母校から相談を受けて障がい者野球の体験会を開催した。

「まさか母校からそんな話があるなんてびっくりしました。先生から『障がい者の体験をできる人を探している』と。こちらもぜひお願いしますと言いました」

選手5人でさいたま市まで出向き、キャッチボールやノックなど交流を楽しんだ。その姿に子どもたちは目を奪われていた。

「学校から感想文をいただいて、『すごかったです』など色々書いてあったのですが、あれはいいですね。感じたことをストレートに書いてくれるから心に響きましたよ」

2018年には母校で体験会を開催した(右から3人目)

選手たちは同じ障がいを持っている人など、より多くの人に活動を知ってもらうことがチームのミッションだと考えている。石井もその想いを語った。

「とにかく知ってほしいんです。(障がいを持っていても)こうやって野球ができるんだと。今後、生きていく上で何があるか分からないので、仮に後から障がいを負ったとしても、心が折れる前に『こういう人たちが昔いたな』と思ってもらえればそれだけでもいいです」

「何でもチャレンジしてほしい」

45歳となった今も野球を通じて心身ともに向上している。障がい者野球の魅力とは何か。石井はこう答えた。

「障がいを持ってる人が向き合いながら、『どう上達するんだろう』とそれぞれ考えて努力している姿が見られることです。上手くなる限界点がある中でも毎回練習に来て一緒に野球ができるので同じ障がい者として力をもらっています」

また、持ち前のポジティブさで周りに元気を与えてきた。同じ障がいを持つ方たちに向けてこうメッセージを贈った。

「野球に限らず他スポーツでもいいので、とにかくやってみることが大事なのかなと。

努力して続けようと思えたらそれをぶつけたらいいですし、本当にできなければやめてもいいと思います。まずは何でもチャレンジしてほしいです」

今年は、新型コロナウイルスの影響で日本身体障害者野球連盟主催の公式戦は全て中止。

ドリームスターは社会情勢に合わせながら可能な限り活動を続けている。石井も積極的に活動に参加し、グラウンドでチームを元気づけており、その姿勢がチームをさらなる高みに導いていく。

(取材 / 文:白石怜平)

※本記事は2020年12月21日にスポーツメディア「Spportunity」で掲載されたものです

関連記事一覧