「第5回世界身体障害者野球大会」長嶋茂雄さんと身体障害者野球の絆、そして賞に込められたミスターの想いとは

「長嶋茂雄一般財団法人」の設立がきっかけに

長嶋茂雄賞の制定は、日本身体障害者野球連盟とのやりとりの過程で生まれたものだった。

大会名誉顧問の就任や開催を祝うメッセージについて長嶋さんとやりとりをしていた中で、今年5月に「長嶋茂雄一般財団法人」が設立されたことを連盟は伺った。

同財団法人は、野球をはじめとした様々な競技・アスリートや、アスリートを支える方々を支援したいとの長嶋さんの想いから立ち上がった。

WDBにおいては、「大会に出場される各国の選手や運営スタッフに向けて、財団を通して何か援助ができれば」と提案があり、連盟は長嶋茂雄賞の設置を依頼し、制定に至った。

長嶋茂雄賞に向けた長嶋さんのメッセージ(WDB特設サイトより)

実際にやりとりをした連盟の山内啓一郎理事長は、

「野球だけでなく様々なアスリートを応援する素晴らしい取り組みで、人生をかけてスポーツ界を支えてきた長嶋さんのお人柄を表す活動だと思います。

目に見える形で目標ができれば選手もやりがいがありますし、世界大会では参加した選手に少しでも多くの賞を受け取ってほしいと思っていますので、非常に嬉しいご提案でした」

と当時のやりとりについて話していただいた。

大会当日は長島三奈さんがプレゼンターに

栄えある長嶋茂雄賞は日本代表の小寺伸吾選手(神戸コスモス)所属が受賞した。試合では計9打数6安打を放ち打率.667。 1番そして4番を務めるなど打線の中心を担い、日本の世界一連覇に大きく貢献した。

賞を受賞した小寺伸吾選手(神戸コスモス)

そしてプレゼンターは長島三奈さん。直接賞品を受け取った小寺選手も感激の表情を隠さなかった。

小寺選手はその時の心境や三奈さんとの会話について後日明かしてくれた。

「長嶋茂雄賞があることで、自分があの場に立つことができたので本当に嬉しかったです。長島三奈さんとも会話させていただいて、『プレゼンター務めるの初めてなんです』と仰っていて驚きと光栄な想いでした」

長島三奈さんから賞品を授与された小寺伸吾選手(神戸コスモス)

山内理事長は日本代表監督を務めると共に、大会開催に向けて準備から終了後も奔走した。WDBを終えて長嶋さんたちに深い感謝の意を表した。

「身体障害者野球では、仕事と野球の両立で生活の理由から断念する選手もおりますし、 進行性の障害でいつまで身体が動くのか不安に思いながらプレーをしている選手もいます。

そうした選手の生きがいや人生の目標とできる大会にしたいという願いを持って、長嶋氏が第1回大会から支えていただいています。他にも福本豊・名誉理事長(元阪急ブレーブス)を中心とする多くのプロ野球関係者の協力も大きいです。

今回も長島三奈さんが授与してくださったことは感謝しきれないですし、野球が好きという方々のおかげで世界大会が開催できていると感じています」

これからも長嶋さんはスポーツ界の発展に向けて光を照らすとともに、身体障害者野球界も今回のWDBでの盛り上がりをステップとして更なる発展に向けて進んでいく。

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