身体障害者野球大会『小笠原”ミニ”大杯』コロナ禍で照らされた一筋の光

ルールは、健常者の野球と異なる独自のものが一部存在する。

バント・盗塁・振り逃げは禁止。加えて、打者が打ったら代わりに打者走者として走る「打者代走制度」がある。

主に下肢障害の選手が適用しており、お互いの障害を補い合えることが身体障害者野球の魅力の1つである。

連盟主催の大会は通常、5月にほっともっとフィールド神戸で開催される選抜全国身体障害者野球大会を始め、11月に兵庫県で行われる日本選手権大会、その予選を兼ねた公式戦が各地域で9月に開催される。

しかし、2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、連盟主催の大会は全て中止となった。

1年間公式戦がなくなった各チームは、地元エリアの状況に合わせて練習環境を確保できるよう模索した。グラウンドがとれれば、チームの垣根を超えた合同練習や健常者のチームと練習試合を行い、可能な限り活動を続けてきた。

今年初の交流試合「エネルギー溢れる大会に」

そんな中、11月8日に千葉県市川市内のグラウンドで身体障害者野球の交流大会が開催された。

市川市に拠点を置く身体障害者野球チーム「千葉ドリームスター」が大会を主催。

千葉ドリームスターは2009年に結成された千葉県唯一の身体障害者野球チーム。千葉県出身で、現在は北海道日本ハムファイターズのヘッド兼打撃コーチを務める小笠原道大氏が「夢を持って野球を楽しもう」という想いを込めて創設したチームである。

ドリームスターのスタッフには、小笠原氏公認で活動している男が在籍している。
浅井企画所属のモノマネ小道具芸人 小笠原”ミニ”大氏である。(以下、ミニ大氏)

小笠原氏のモノマネを芸の1つに持つミニ大氏は、昨今の状況から身体障害者野球を盛り上げたいと立ち上がり、本大会主催に一役買った。

旗揚げ役となった小笠原ミニ大氏

ミニ大氏は自身で優勝カップを制作。

また、毎年市川市で行われている少年野球大会「小笠原道大杯」(※今年に限り中止)の幕を拝借し、別名「小笠原ミニ大杯」と題し、冠大会とした。

ミニ大氏は「率直な気持ちはみんな思う存分に野球を堪能してほしいです。このご時世で公式大会も無くなり練習時間も制限されている。普段抱えてる不安やストレスをブッ飛ばして乗り越えるような、エネルギーに溢れる大会にしたい」と語った。

小笠原氏本人も優勝賞品として直筆サイン入りのバットとボールを寄贈し、大会を支援した。

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