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千葉ドリームスター 3年ぶり出場「第30回 全国身体障害者野球大会」昨秋の悔しさを糧に臨む”リベンジマッチ”と最年長選手が見せた献身プレー

初戦は昨秋選手権の再戦に

ドリームスターの初戦は仙台福祉メイツ(宮城)との試合、昨年の選手権以来の対戦となった。

前回は最終回に追いつき1−1で規定時間の100分を迎えたが、じゃんけんによるタイブレークで惜しくも敗れていた。

いわば”リベンジマッチ”とも言えるこの試合、ナインは昨年の悔しさを胸に神戸へ乗り込んだ。

宮内主将を中心に試合前に円陣を組んだ

試合は10時半にプレーボール、G7スタジアム神戸でサイレンが球場内に響き渡った。

1回表はドリームスターの攻撃から始まり、1番の土屋来夢が打席に立つ。チーム最年少で副主将を務める24歳はリードオフマンとして打線を鼓舞。

昨年の選手権では、最終回1点ビハインドの状況で三本間に挟まれながら相手捕手をかいくぐり気迫のヘッドスライディングでホームインし、窮地から救ったプレーを見せた。

この試合も切り込み隊長ぶりをいかんなく発揮。フルカウントまで粘り、8球目を振り抜くと打球は右翼の頭上を超える3塁打を放ち初回からチームを勢いづけた。

先頭打者として3塁打を放った土屋来夢(写真右)

この回惜しくも点は取れなかったものの、1点が重かった前回と違う「今年はやれるぞ」という雰囲気がベンチを包む。先発マウンドに上がった城武尊(たける)が初回を0点に抑えると、ドリームスターの打線がついに猛攻を見せる。

先頭の6番・”義足の野球人”石井修が巧みなバットコントロールで左前打で出塁すると、2死から9番・川西努から四球を挟み、3番・城がライト方向への2塁打を打つなど4連打で一気に5点を奪った。

投打の主軸として活躍した城

裏の守りでは1点を返されるが、4回にも打線が勢いに乗りさらに5点を追加。10−1と大量リードしたその裏にはチーム創立時から在籍している三浦敏朗が公式戦初登板を果たす。

四球などで走者を出すも1点に抑え、試合時間の規定100分を迎えたため試合終了。10−2でドリームスターが昨年のリベンジを果たし初戦を突破した。

攻守で特に献身的な働きをしたのは、打順では2番、捕手ではフルイニング出場した背番号21の小林浩紀(こうき)。生まれつき左手指が短い先天性の障害を持つ小林は、最年長の54歳ながらチームNo.1とも言える身体能力を持つ。

高校時代は城西高校サッカー部(東京)の主力として、元日本代表の北澤豪擁する修徳高校とも対戦するなど、大学や実業団からいくつもオファーを受けていた選手。

野球では捕手に加え一塁以外の内野全ポジションを守り、打撃でも右打者として広角に打ち分けチームで首位打者を争う。

現在は野球以外にも障害者ゴルフの選手としても国内の複数大会で優勝するなど、年齢を感じさせないプレー、そして明るいキャラクターでチームの兄貴分として活力の源となっている。

実はこの2週間ほど前、練習試合中に右ふくらはぎの肉離れを発症していた。出場が危ぶまれる中、首脳陣は動きを制限させることを条件に本人とも話し合い起用を決断。

満身創痍ながら攻守で勝利に貢献した小林

身体障害者野球のルールでは、捕手は投手からの投球を適宜身体に触れれば捕球とみなすため、事前に投手・内野手がカバーすることを確認して試合に臨んだ。

小林は期待に応え、城の投球を体を張って受けるとともに打撃でも2安打2打点と勝利に大きく貢献した。

翌2戦目は昨秋の選手権で準優勝した強豪「岡山桃太郎」との対戦となった。

(つづく)

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