鈴木啓太が明かした「アスリートと一般人の腸内環境に違いがある」検体取得に奔走した日々から発表に至るまで〜連載インタビュー第2回〜
3期目には国内最大級の学会で研究発表
3期目となる18年、AuBは外部に向けて研究成果の発表を開始した。
3月に、国内最大級のバイオ系学会である日本農芸化学会で初めて研究成果を発表した。その内容はAuB社が設立以来、追い求めていたテーマである「アスリートと一般人の腸内環境の違い」。
約 300 人以上のアスリートの便を解析し、「アスリートは特徴的な腸内環境である」ことが鈴木が仮説を立てていた通り分かったのだった。
同年の9月には 「高齢者のアスリートと一般高齢者の腸内環境の比較」に関する研究を、日本体力医学会で発表。
アスリート(マスターズ陸上の選手)の方が一般より、感染症リスクが低い(病原菌を含む種類の菌が少ない 病原菌の発現率が低い)傾向があるという内容である。
さらに翌10 月、日本農芸化学会の関東支部会でアスリートは「酪酸菌」が優位に多い特長があることを発表。
「酪酸菌」は、免疫機能を整えたり、腸の動きを活発にしたりする働きがある菌で、アスリートは一般の方の約2倍あることを突き止めた。(一般の方は腸内細菌の全体数のうち 2〜5% が酪酸菌なのに対してアスリートは 5〜10% と約 2 倍の割合)
アスリートの腸内環境は多様性が高いことを立証しながら、腸内細菌研究に関する知見を蓄積していく。この年はシステムも強化。より効率的にデータ解析ができるようAIシステムの開発に着手した。
「我々が多くの検体を集めたときに、どんなデータが導き出せるのかということもあり、機械学習で見ていく事をやり始めました」
検体数も順調に伸ばし、18年度の時点では500名・検体数は1,000を超えた。しかし、研究成果も発表し順調に見えた中、19年は会社存続の危機に晒されることになる。
(続く)