
「MLB Tokyo Series Fan Fest presented by Guggenheim」斎藤隆さんと井戸田潤さんがトークショーで挙げた注目の日本人メジャーリーガーは?
東京スカイツリータウン®で行われている「MLB Tokyo Series Fan Fest presented by Guggenheim」。メイン会場となる4階スカイアリーナで、3月18日もスペシャルトークショーが行われた。
ついに開幕戦を迎えるこの日は、MLBでオールスターに出場経験もある斎藤隆さん(元ドジャース他)と、大の中日ファンでもあるお笑いコンビ・スピードワゴンの井戸田潤さんが登壇した。
(写真 / 文:白石怜平)
日本選手のレベルの高さを改めて感じた斎藤さん
この日のトークショーは晴天に恵まれ、期間中唯一となるステージでの開演となった。井戸田さんはカブスのユニフォーム姿で登場し、
「日本で開幕を迎えるのは夢のような話で、しかも日本人投手が開幕投手。もうたまりませんね!」
と最初に挨拶。斎藤さんも続いて
「やっぱりファンの皆さんがいちばん楽しみにしていたと思います。僕がメジャーに行ったのが06年。その前(00年)に一度東京ドームでやりましたが、この盛り上がり!」
と、ボールパークを埋めつくしたファンの方と楽しさを共有するように語りかけた。

斎藤さんは自身がデビューから3年間在籍したドジャースのユニフォームを身にまとった。
ここで「嬉しいことがあって」と、東京シリーズのパッチが袖に入ったナイキ社製の特別ユニフォームを披露した。

トークでは、「新たに挑戦する日本人メジャーリーガーをどう見ているか」という質問が斎藤さんに寄せられた。
「僕が入団した時は、日本だけのスカウトって30球団中半分もいなくてアジアとしてのスカウトだった。でも、今はほぼ全球団が日本のみのスカウトを置いている。それくらい日本の野球は注目されています」
また、15日と16日と行われた巨人・阪神とのプレシーズンマッチ。これらの試合を踏まえて斎藤さんは以下のように総括した。
「日本選手のレベルの高さを見させてもらいました。ただ、メジャーの選手たちのホームランを見ると、同じ野球選手でありながらパワーの違いも見せつけてくれたと思います。そう考えると、日本人選手もメジャーに行って一段とすごい選手になったと感じましたね」

小笠原慎之介投手に贈ったものとは?
井戸田さんは、注目している選手の一人として今季中日からナショナルズに入団した小笠原慎之介投手を挙げた。
甲子園優勝投手の実績を持ち、15年ドラフト1位で入団して以降取材を続けてきたと言う井戸田さん。
小笠原投手のメジャー挑戦が決まった際、参加した壮行会であるプレゼントを贈った。
「何がいいかなって考えてたらグラスのバカラを見つけたんです。そしたら隣にバカラでできた”夢叶えるダルマ”ってあったんですよ」

メジャー公式球くらいのサイズであるそのダルマは、両目とも塗られていたという。そこに込められたものを知り、小笠原投手に贈ろうと決めた。
「夢を真っ直ぐ見据えて、『もう私は真っ直ぐ進んでいます・夢を叶えます』という想いがこもったダルマだったんです」
実際に渡した時の反応も明かしてくれた井戸田さん。しっかりオチがあり、会場を笑いに包んだ。
「プレゼントして開けたら小笠原投手が『これ何ですか?』ってなっちゃって(笑)。それで今の話を説明して理解してもらいました」
このトークショーでMCを務めた福田太郎さんは、この日井戸田さんと共演するとのことから、ダルマの現在について事前に聞いていた。ここで本人からの伝言を井戸田さんへ直接伝えた。
「バカラはちゃんと見守ってますと伝えてください」

井戸田さんは、ショーの最後にも今シーズンに向けて小笠原投手への期待をこう述べた。
「今年一年開幕からローテーションを守っていただいて、勝ち星も機になると思いますが、怪我なく乗り切って欲しい。活躍し続けて日本を代表するメジャーリーガーの一人になってほしいです」
「チャレンジしたことがすごい」菅野投手へエール
続いて斎藤さんも、今シーズン注目の選手を一人挙げた。
「僕は菅野(智之)投手です」
昨季セ・リーグ最多勝と最高勝率を獲得し、36歳になる今季オリオールズに入団した右腕。斎藤さんは現役時代に接点があったことを明かしてくれた。
「菅野投手が浪人していた時にアリゾナで一緒に食事する機会があったんです。ドラフトの時に僕をクジで引き当ててくれたのが当時大洋(現DeNA)の監督だった須藤豊さん。
須藤さんの息子さんがアリゾナで寿司職人をされているので、『隆、飯食いに来い』と招待されて行ったら、川﨑宗則ファミリーと菅野くんがいたんです」

ヤクルトやDeNAでコーチをつとめた際も、必ず菅野投手から挨拶に来て会話を重ねていた二人。斎藤さん自身も36歳でメジャー挑戦したことから、その重みを乗せて会場にこう呼びかけた。
「私と同じ年齢で行ったのですが、行ったこと・チャレンジしたことがすごいなと。みなさん拍手してあげてください。(会場全員で拍手)」
「チャレンジが生き様になる」
トークショー後の取材でも菅野投手についての話題に。斎藤さんは42歳まで7年間メジャーでプレーしたことも踏まえ、長く活躍するポイントについて語った。
「僕はトレーニングしかないと思います。体の休ませ方も難しいですし、気持ちもリラックスしながらいかに切り替えてマウンドに上がるかが大切です。
自分のパフォーマンスを上げるため、さらにはマウンドでアウトを取り続けることに集中してくれたら、すでにオープン戦で結果は出ているので開幕後も期待できると思います」

ここで筆者からも斎藤さんが挑戦した当時のことや、挑戦する意義について訊ねた。自らの状況を交えながら、改めて菅野投手へのリスペクトも含めた。
「僕はマイナー契約だったですし、毎日が断崖絶壁のところにいたので、いつ落とされてもおかしくないところで戦っていました。
みんなに頑張ってほしいのはもちろん、菅野投手もメジャーにチャレンジしたこと自体がものすごいことだと思うので、生き様になってくると思います。
すごい選択したなと感じますし、僕は見守っていきたいです」
「この2試合は重みが違ってくる」
斎藤さんは、開幕を戦う2チームについても言及。昨年の激闘などに触れながら2試合に向けた展望を述べた。
「アメリカを基準に考えると異国で開幕を迎えるわけですよね。いい結果が出ればいいですけども、そうもいかない難しさもあると思います。
特にドジャースは昨年韓国でスタートしてからワールドシリーズを戦って、最後までプレーをしたチームです。
そんな中今年も日本で開幕するのでより厳しい条件になります。カブスも同じく調整の難しさはあると思いますが、いい試合をしてほしいです」
最後、両チームにとって2試合の持つ重みについて語って締めた。
「カブス・ドジャースともにワールドチャンピオンを狙えるチーム。2試合ではありますが、東京でやるというのは他チームから比べてもビハインドになるので重みが違ってくると思います」

斎藤さんと井戸田さんはパブリックビューイングで再登場。山本由伸・今永昇太両投手の好投や大谷翔平選手の2安打など、日本人選手の躍動や熱気を会場のファンと共有した。
斎藤さんはトークショー時の最後に
「日本人投手との投げ合いも初めてで歴史的なこと。皆さんと一緒に見れるのは幸せなので、何が起きるか分からない奇跡を見れるのはありがたいので楽しみましょう」
と語っており、まさに歴史が刻まれる瞬間を彩っていた。
(おわり)
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