
「涙が出るくらい嬉しかった」西武ライオンズOB戦 両軍監督が語った初開催の感謝と今後の展開「我々も一緒になってアドバイスしていきたい」
3月16日、ベルーナドームで 『LIONS CHRONICLE 西武ライオンズ LEGEND GAME2024』が行われた。
79年に西武ライオンズが誕生してから昨年で45周年、初のOB戦が開催された。両チームを率いた東尾修さん・田淵幸一さんも歴史的な1日を感慨深い思いで振り返った。
(写真 / 文:白石怜平、一部敬称略)
西武初優勝メンバーの主力が記念すべき試合の監督に
今回OB戦の指揮を取ったのがチームLIONS監督の東尾修さんとチームSEIBU監督の田淵幸一さん。
東尾さんは、前身の西鉄時代からライオンズ一筋。”ケンカ投法”とも称される強気のインコース攻めで打者を圧倒し続け、通算251勝を挙げた。
西武の創成期から広岡達朗監督時代の初優勝・連覇、そして森祗晶監督時代の第二次黄金期に選手として貢献。
さらに95年からは森さんの後を継いで監督に就任すると、7年間全てでAクラス・97年と98年にはリーグ連覇を達成するなど黄金期からの世代交代を成功させた。

田淵さんは69年に阪神へ入団すると、3代目ミスタータイガースを襲名するなど10年間プレー。
78年オフに新生西武ライオンズへ移籍し、80年には43本塁打を放つなど、ホームランアーチストとしての打棒をパ・リーグでも発揮した。
東尾さんとは移籍してからの戦友で、当時下位に低迷していたライオンズを投打で牽引。82年の西武初優勝そして翌年の連覇へと押し上げ、以降の黄金時代へと繋げていった。

”演出”も決まった直接対決
試合前に行われたトークショー「創成期編」で共に登場した2人。監督としてだけでなく、選手としても対戦することを公言した。
そして4回表、ついに訪れた直接対決の機会。東尾さん自らマウンドに上がると、チームSEIBUも田淵さんが打席に立った。
東尾投手は現役時代さながらの強気の内角攻めをすると、投球が田淵さんに当たりマウンドへと向かった。両軍ベンチから総出となると、2人は笑顔で肩を組み合いその場で記念撮影。スタンドは爆笑と安堵に包まれた。

2人は試合後の会見でこのことについて問われると、
「直接対決しましたが、ところでお前本当にぶつけようとしただろ(笑)」と東尾さんにジャブ。すると「本当に当てようとしたんだけど当たらないんだよね」と正直に返した。
ただ、お互い織り込み済み。田淵さんが「あの演出よかったでしょう?」と言うと先の球場だけでなくこの会見場も笑いに包まれ、まさに大成功だった。
今後のOB戦開催に向けて「我々も一緒になって考えたい」
トークショーやサイン会などのイベント、そして試合と大盛況に終わった。
参加したOBの面々も「同窓会」と言っていたように、数十年ぶりに顔を合わせて当時の思い出話に花が咲いた。
また、この日はベルーナドームは満員御礼。ファンの中にも現役時代にたくさんの夢をもらい、そして憧れを抱いた方も多くいることだろう。
ただ、意外にもこうやってOBが一堂に会したのは今回が初の取り組みだった。

2人は共通して持っていた正直な思いを吐露した。
「チケットもすぐ完売したと聞いています。OB戦も初めてだったので涙が出るほど嬉しい気持ち。ただ、もう少し早くやって欲しかったなとも思います」(東尾さん)
「去年話が来て『OB戦やるの?』と。西武はOB会がないので、正直に言うと僕らがまだ投げて打てる時代にやりたかったなと。ただ、満員御礼になって日本シリーズみたいだね。本当にやれてよかったです」

また、この試合も点を奪い合う展開になった。試合を田淵さんが振り返り、
「全員皆さんの前に出るようにしましたし、1点取って逆転して同点になってまた取り返すシーソーゲーム。なかなかこういうゲームってOB戦ではないんだよね」
この日、試合終了後にサプライズで動画メッセージにて松井稼頭央監督から開幕投手が発表された。今井達也投手が初の大役を担うことになった。
MVPを獲得した秋山幸二さんや特別賞を受賞した土井正博さんが、表彰式で今シーズン戦うライオンズに優勝の期待を寄せた。2人がまたもや掛け合いを見せながらエールを送る。
「松井監督とは仲が良いので頑張って欲しい。ピッチャー陣もいいので、Aクラスに入れる可能性は十分にある。陰ながら応援してる」(田淵さん)
「投手は安定して層も厚くなっている。あとは野手がどのくらい打てるか。表から応援しますよ僕は。あなたは阪神のことばっか考えてるからでしょ?※会場が大きな笑いに包まれる」(東尾さん)

そして会見の最後、改めて今後のOB戦開催に向けての想いも語った。
「関係者の皆さん、やっていただいて本当にありがとうございました。涙が出るくらい感謝です」(東尾さん)
「素晴らしいイベントができたので今後も考えていると思います。我々も一緒になって考えたり、アドバイスしていきたいですよ」(田淵さん)
OBそしてファンの感動を共有したこの日のイベント。次は、伝統を受け継ぎ戦っている現役の選手たちが優勝を勝ち取り、OBの方々を感動させていく。
(おわり)
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