「この戦いで負けたら自分の居場所がなくなる」アイスホッケー・三浦優希 過酷な競争社会のなかで抱く矜持と自身の強みとは?
アイスホッケー世界最高峰のNHLへの挑戦を目指し、現在はMinnesota Wild傘下のECHL所属のIowa Heartlandersでプレーする三浦優希選手。
大学での挫折を乗り越え、レギュラーになるまで自らを高めていった。そしてついにアメリカでプロの選手としてキャリアを始めることになった。
本編では、Iowa Heartlandersに入団してから2年を振り返った。
(取材協力:LeadOff Sports、取材 / 文:白石怜平 ※以降、敬称略)
卒業から半年かけ、トライアウトに合格。プロへ
Lake Superior State University(LSSU)では、「挫折でした」と高い壁にぶつかりながらも這い上がってきた三浦。大学でもレギュラーの座を掴むなど、さらにステップアップした4年間だった。
そして卒業後はプロとしてNHLの舞台に立つことを目指していた。
しかし、21年5月に卒業してからは所属先が見つからない日々が続いた。関心を持ったチームも複数あったが、当時はまだコロナ禍で世界情勢もより厳しかった時期。
外国人選手である三浦に向けてはビザの取得の関係などで、より難航を極めた。自身も「正直くじけそうになった」と本音も吐露した中、9月にようやく風向きが変わり始めた。
「エージェントが精一杯チーム探しを手伝ってくださって、チームのトライアウト枠を確保していただきました」
そのチームが現在まで三浦が所属している「Iowa Heartlanders(アイオワ・ハートランダース)」。NHLのMinnesota Wildの傘下で、3部にあたる「East Coast Hockey League(ECHL)」に所属するチーム。
三浦はトライアウトで結果を出し合格。ついにNHLに向けた第一歩をスタートさせることになった。Iowa Heartlandersはこの年からECHLに新規参入したチーム。その点も自身にとって大きかったと語った。
「新設されたチームなので、そのタイミングも良かったと思います。既存のチームであれば、前シーズンに良い成績を出せた選手は残留して枠が埋まるケースが多いですが、新チームの場合はそれが全くない状態からのスタートになります。
なので、ロースターの枠もより広かった。あと何よりチームのカルチャーをこれから創っていくその一員になれたことがとても嬉しかったです」
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